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大谷翔平事件に関与した婚約者を弁護する米リアリティ番組スター、共演者の追及にひたすら言い訳

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(ジェニファー・ペドランティのインスタグラムより)

 違法賭博で多額の借金を作った水原一平容疑者が、胴元マット・ボウヤーに指示を受けて大谷翔平選手から盗んだ金を送ったのは、リアリティ番組「The Real Housewives of Orange County」に出演する“ライアン”ことライアン・ボヤジアンの銀行口座。現地時間先月末に放映された第18シーズン最終回の最後では、その事実を報道で知ったハウスワイフ仲間が驚き、ライアンの婚約者であるハウスワイフ、“ジェン”ことジェニファー・ペドランティが泣き崩れる様子が映し出された。

 だが、その後もジェンはライアンとの写真を続々とインスタグラムに投稿。今月7日から3回にわたって放映されている “同窓会”編の冒頭では、結婚式は来年6月だと笑顔で語っており、ふたりの関係は変わっていない。シーズンの最後で仲良くしているハウスワイフから正しいアドバイスを受けても、自分で稼ぎがなく、子供たちを連れてライアンの家に住ませてもらっているジェンは、彼と別れることは考えられない様子だった。今や彼女は「ライアンは何も悪いことをしていない」で貫くと決めたようである。

 ハウスワイフらが一堂に集まってシーズンを振り返るこの“同窓会”でも、司会者から「あの事件との関与が報道されても婚約解消しようとは思わなかったのか」と聞かれると、はっきり「ノー」と返答。「この件が記事になることはわかっていた。ライアンの名前が出るであろうこともね。ライアンの弁護士は、『彼は胴元ではなく、大谷翔平の事件には絡んでいないということわからせなければ』と言っていたわ。これはマット(・ボウヤー)と彼のビジネスの問題なのよ。違法賭博にかかわっていないライアンの名前が出ることになったのは、私がリアリティ番組に出ているせい。それを申し訳なく思う」というジェンは、本気でそう思っているように見える。

ハウスワイフ仲間が”汚いビジネス”を説明

 しかし、ハウスワイフ仲間はそう簡単に説得されない。そもそも、ライアンが起訴されないという条件を取り付けたということは、ボウヤーを起訴できるための情報を捜査当局に提供したということだ。そう指摘され、ライアンが親友を売ったように言われたと感じたジェンは激怒し、司会者に「司法取引とはそういうことですよ」とたしなめられる。40代後半にもなっているのに、ジェンは本当にそういうことも知らないのだろうか。

 司会者にこの“汚いビジネス”について説明してくれと言われてジェンはまたムッとするが、これについては弁護士であるハウスワイフ、“エミリー”ことエミリー・シンプソンが対応。この件についてできるかぎり読んだというエミリーは、「大谷選手の通訳はギャンブル依存症で、マット(・ボウヤー)を通じて違法賭博をやったの。そのせいで積み重なった巨額の借金を返すために、彼は大谷選手の銀行口座から金を盗んで、ライアンの口座に送ったのよ。そしてライアンは、そのお金をリゾーツ・ワールドというカジノの口座に移して、そのお金でマットと一緒にギャンブルをしたの」と、その場にいる人々に説明する。

 まさにその通りなのだが、ジェンはここでも「マットがライアンの口座を使ったのは、バンク・オブ・アメリカ(銀行)の口座じゃないとだめだったからなの。マットはバンク・オブ・アメリカに口座を持っていなかったのよ。ライアンは、こんなことになると知らなかった。お金を送ってきたイッペイという通訳のことも。送られてきたお金は全部マットのもの。ただ、その口座の名義がライアンだったというだけよ。(口座を貸したのは)間違いだったわ」と言い訳をした。しかし、それはおかしい。水原容疑者は大谷選手の口座から直接送金をしたため、送金主は大谷選手になっていたのだ。

ライアンは親友が違法なことをやっていると知っていた

 その部分については誰も言及しなかったが、あるハウスワイフは、「だけど、ライアンは親友が違法なことをやっていると知っていたのよね?」と言い、エミリーも、ジェンとライアンの婚約パーティで、ボウヤーがライアンのことを「こいつは俺のマネーロンダラーだよ」と言っていたことを指摘する。それに対しても、ジェンは「マットは冗談を言っていただけ」と突っぱねた。

 聞く耳を持たないジェンに、エミリーは、「あなたが『ライアンは間違った選択をしてしまった』と認めたなら、私はあなたとライアンをもっとリスペクトするのに。時には責任を持つことが必要よ」と言う。もうひとりのハウスワイフ、“ヘザー”ことヘザー・ダブロウも、「ジェン、ここにいる私たちはみんな、あなたのことを心配しているの。あなたがひどい目に遭うことになって欲しくないと。だから私たちは思っていることをここで言うの」と諭した。それでもジェンは「それはありがとう。でもライアンには何も起きないから、大丈夫」と、頑なな態度を崩さない

 あと1回残っている“同窓会”編で、またライアンの話題が出てくるのかどうかは不明。ただ、ジェンのこの様子では、出たところで話は堂々めぐりで終わりそうだ。「来年の結婚式にこの人たちを呼ぶのか」と司会者に聞かれて、ジェンは「何人かはね」と答えていた。第19シーズンについてはまだ発表されていないが、あるとしたら、ジェンに気に入られた(聞きたくないことを言わない)何人かが出席するウエディングの様子も入ってくるのだろうか。いずれにしても、そこにライアンの最も親しい友人であるボウヤーの姿はない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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