Bリーグ初代王者を狙うブレックスに欠かせない存在となった遠藤祐亮
「我々は遠藤に対して大きな自信を持っている。彼はリーグ内でエリートと言えるディフェンダーであり、ペリメターのディフェンスが万能な選手であることを示している。シーズン序盤には、クイックネスのある富樫(勇樹:千葉ジェッツ)に対して素晴らしい仕事をしてくれたし、サイズがあって得点力のあるポイントガードであるギャレットに対してもそうだった」
栃木ブレックスのトム・ウィスマンコーチは10月22日にアルバルク東京を破った後、元NBA選手のディアンテ・ギャレットとマッチアップした遠藤祐亮についてこう語る。ディフェンスを理由に一昨シーズン途中からシューティングガードで先発するようになった遠藤は、この夏日本代表としてウィリアム・ジョーンズ・カップに出場。今シーズンは持ち味のディフェンスだけでなく、オフェンスでの貢献度を上げている。10試合を戦った時点で、10月9日の仙台89ers戦の16点を最高に、遠藤は5試合で2ケタ得点をマーク。東京との1戦目は、試合開始早々に3Pとミドルレンジのジャンプシュートを決めてリズムをつかみ、13点を奪った。ディフェンスではギャレットに得意のドライブをさせないように、チームメイトのヘルプを受けながらタフなプレイを最後までやり通した。この試合について、遠藤自身は次のように振り返る。
「相手の中心選手がギャレットで、自分がつくことになって、いつも以上に集中力を持って(臨みました)…。ギャレットのディフェンスがよくないというので、自分が攻めようという強い気持で入って、それがうまくいってよかったと思います。(ギャレットは)身体能力も高いし、ハンドリングもいい選手で守りずらかった。仲間がすごく助けてくれるので結構守れたんですけど、16点取られているので、10点くらいに抑えられるようにもう少し頑張りたいです。他の試合では3Pも中も結構シュートが入るなというイメージがあったんですけど、ドライブは彼がいいリズムになってくるようなプレイだと思うので、それをされないように守っていました」
185cmの身長は、シューティングガードのポジションだと正直なところ小さい。しかし、身体能力の高さをディフェンスで生かす術を身につけたことで、ウィスマンコーチからの信頼を得ている。それは、ギャレットとマッチアップした東京との1戦目が31分15秒、2戦目も29分12秒と、栃木の日本人選手の中で最も多いことでも明らか。外国人を含めた得点力のあるスイングマンとのマッチアップを経験してきたことで得たものについて遠藤は、「ディフェンスから自分はプレイタイムをもらえるようになったり、日本代表に選んでもらったことで自信になった。相手から嫌がれるようなディフェンスをやろうと心がけ、それが目に見えて相手が嫌がっているのは、自分のよさが出ていると思います」と語る。
キャプテンで司令塔の田臥勇太も22日の試合後、「ディフェンスが彼のストロング・ポイントだと思いますし、彼が自信を持ってディフェンスをするとオフェンスにもつながっていて、思い切りよくシュートを打てていて、決め切る。今日は本当にいいところで決めてくれましたし、能力はこのチームの中でもトップのものを持っていると思うので、あとは自信を持って自分がこのチームにとって必要なんだと自分自身を信じてやってほしいと思います。ほんとうにいい意味で期待しています」とコメント。ロール・プレイヤーから中心選手の一人へと遠藤が今後もステップアップし続けることができれば、得点源であるライアン・ロシターと古川孝敏の負荷を軽減するだけでなく、栃木のチーム力が上がることを意味する。もちろん、B1制覇という目標達成に欠かせない要素の一つであると言っていい。
「プレイタイムも確保されていて、思い切りプレイできるようになったので、自分がやりたいようにバスケットができるようになってきました。もっともっと伸ばさない部分があると思うんですけど、それも楽しみですし、これから1試合1試合を楽しみながらやっていきたいです」
この2年で大きな自信を手にし、チームにとって重要な戦力となった遠藤が、プロ生活で最も充実した日々を過ごしているのはまちがいない。