【札幌市中央区】冬の住環境を考えるチャンス!10月15&16日「ほっかいどう住宅フェア2022」
10/15.16、ほぼアカプラとチカホをほぼジャックしてしまうような予定のイベント「ほっかいどう住宅フェア2022」の告知がありましたので、その発表会に行ってきました。
冬について考え始める時期到来ですね。
北海道庁では、2005年と2010年に発表した「北方型住宅」の基準に、現代の耐震やエコへの要求を追加し改訂したバージョンを、2020年に「北方型住宅2020」という形にて発表しました。
今回のフェアは、コロナでお披露目が停止していたこの2020版の内容を、初めてリアルで市民の皆さんに公表する機会となるようです。
ここで、世界的にみてもかなり先進的な北海道の寒冷地対応住宅の歴史をざっと振り返ってみるのも悪くはないと思います。
北海道の冬は、寒く雪が多すぎる。
写真は今年2月の二条市場界隈です。とてつもない大雪に見舞われましたよね。でもそれは特別なことではなく、札幌という都市圏人口が200万以上もいながらこれほどの大雪にアタックされる都会は、世界にも他に類を見ません。
確かに昔は寒かったが、しかし暑かった。
私は日本遺産の「炭鉄港」のガイドとして空知の旧産炭地を案内して歩くこともあります。そうすると、昔の炭鉱住宅を見た人が、「こんな建物では寒かっただろうねー」と言うこともありますが、時にはそうでもありません笑 だって当時は石炭は無尽蔵にあるから、ストーブ焚き放題でしたから。
さらにストーブだけではなく、写真の「小樽あんかけ焼きそば」のようにハイカロリーな食べ物とアルコールがいつも潤沢にあり、ガンガンにあったかくした銭湯が、北海道の至る所にあったのです。
こういうエネルギーをどんどん消費しまくるライフスタイルが「燃えるように暑い部屋の中で薄着できんきんに冷えたビールを飲む」という北海道文化を育んだのかも知れませんね。
そもそも北海道の寒さ対策は開拓使時代からスタートし、豊富な北海道の資源に取り組みながら、ハイエネルギー消費で乗り切る!というスタイルを確立してきたのです。
しかし20世紀後半となり、エネルギーの有効活用が必要という風に社会が変化してきた事を受けて、1988年には「らしさ ゆたかさ たたずまい」というキャッチフレーズで北方型住宅認定制度が、いわばステージ1として作られました。主に断熱や床面積、耐久性などの規定をしたものでした。
写真は1960年代の北海道の炭鉱文化の代名詞とも言える三笠市の「奔別立坑」です。ある意味現在の北海道の住宅作りは、このような炭鉱文化の転換と、それに続くオイルショックからスタートしていった、と言えるかもしれません。
「北方型住宅」という、エコフレンドリーな新基準。
2005年には「あったか 長持ち ともに育む 北の住まい」というキャッチフレーズのもと、今回の原型となる「北方型住宅登録」が策定され、数値というよりはあるべき仕様という形で設定されなおしました。そこでは永く住める住宅や融資制度の改良が意識されました。「長寿命」な住宅、「安心と健康」、「環境との共生」などが規定され、そして地域風土や気候の特性を活かしたものを指向しています。
さらに2020年の新基準では、地球温暖化のためのエネルギーのより一層の有効利用や、痛ましい地震被害を鑑みて耐震を強化したのです。
北海道の冬の文化の歴史と、これからの形。
北海道の断熱効果の高い住宅の立ち並ぶ住宅地は、性能も景観も(例えばインバウンドゲストは屋根がフラットなことにびっくりする人も多い。そしてそれは断熱効果が高いため融雪を可能にしているからだと説明すると多くの人はその知恵にびっくりする。)もしかしたら今後の新しい北の大都市の景観として、観光資源になっていく可能性すら持っているのではないか、そう思いました。
そうしてそれが、私の専門とする「炭鉄港」の高カロリー消費から転換したものなのだ、という風に感じると、なんだかとても親しみが湧いてきました。ある意味、炭鉱の廃山は、立坑などの産業遺産や今の北海道に廃線跡の理想的なサイクリングロードなどの観光資源をもたらし、独特な食文化を生み出しました。
その転換によって、これからの新しいエネルギーや環境をあり方を意識した住宅を考え始めるきっかけが生み出されたかもしれません。
私が子どもの頃、燃え盛るように暖かくて幸せだったあの冬の暮らしへの備えを、エネルギー効率や環境などへ配慮しながら新しい形で考えていくのですね。
これから北海道の住宅がどうなるのか注視するためにも、私もこのイベントに10月15&16日、行ってみようと思います。
「かんな削り」や「薪割り」など住宅作りの原点を体験できるようなイベントもありますので、楽しそうです!
■ほっかいどう住宅フェア■
日時→
10月15日:9:00−19:00
10月16日:10:00−18:30
会場→
アカプラ(札幌北3条広場)
チ・カ・ホ(札幌駅前地下歩行空間)
公式サイトは こちら。