JAXA水星探査機「みお」4回目の水星スイングバイに成功、エンジンの不具合により水星到着は1年延期
9月5日朝6時頃、JAXAの水星探査機「みお」が4回目のスイングバイを実施したことが発表されました。本記事では、水星探査計画「ベピ・コロンボ」をはじめ、水星到着の計画変更についても解説していきます。
■水星探査計画「ベピ・コロンボ」とJAXA探査機「みお」
ベピ・コロンボは、JAXAとESAが協力して進める国際水星探査計画です。JAXAが担当する水星磁気圏探査機「みお」とESAが担当する水星表面探査機「MPO」の2機の探査機を同時に水星周回へ送り込み、総合的な観測を行う大規模な国際協力ミッションです。そして、ESAの電気推進モジュール「MTM」が両探査機を水星まで運びます。大きく3つのモジュールに分かれている探査機なのです。
探査機は2018年10月にフランス領ギアナからアリアンVロケットにより打ち上げられました。現在3機の機体は縦に積み重なった状態で宇宙飛行を続けています。
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探査機が目標軌道である水星周回軌道に入るのは、当初2025年を予定しており、実に7年もかけて水星に向かっていました。
2021年には探査機が初めての水星スイングバイを行います。表面には無数のクレーターが刻まれておりまるで地球の月のようですが、太陽系で最も太陽に近い惑星である水星を捉えたものです。2023年6月までに3回目の水星スイングバイに成功。
そして、2024年9月5日朝6時、4回目の水星スイングバイが実施されました。今回は水星表面からわずか165kmの距離まで最接近し、搭載されている観測機器で様々な水星観測を行います。画像の中には、水星の南極や、太陽光が当たることのない永久影が存在するクレーターの撮影にも成功しました。
■イオンエンジンの不具合により、水星到着は2026年11月に変更
当初、ベピ・コロンボ探査機は2025年12月に水星の周回軌道へ到着する予定でした。しかし、2024年5月に推進モジュール「MTM」のイオンエンジンに不具合が発生していることが発表されます。その内容は、エンジンをフル出力で運転ができないという内容であり、水星までの軌道計画に影響が出ることが懸念されていました。
そしてESAとJAXAにより、イオンエンジンの出力を下げて運用する方針が示されました。これにより水星への到着が1年遅れ、2026年11月に変更することとなります。しかし、元々予定していた科学観測ミッションの内容には影響は与えないとのことです。
今後のベピ・コロンボ、そして水星探査機「みお」の今後のニュースも注目です。
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