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大河・光る君へがついに最終回 今後「源氏物語」を読む人が必ず挫折する3つの理由

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家
引用『マンガでわかる源氏物語』池田書店/絵・亀小屋サト、絵・サイドランチ

宿泊経験500泊。関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。

大河ドラマ「光る君へ」の最終回の放映が終わりました。

光る君へゆかりの地

福井県越前市の武生(たけふ)。

紫式部(まひろ)が、源氏物語を書き始める少し前の時間を過ごしました。

紫式部公園には、紫式部が京都で見たであろう、庭園の姿が再現されています。

その一角、池にせり出した優雅な釣殿(つりどの)には、机と硯(すずり)が置かれ、源氏物語を執筆した紫式部をしのぶことができます。

また、京都府宇治市の平等院鳳凰堂は、藤原道長の別荘があった場所。

「光る君へ」の作中では、紫式部も訪ねています。

源氏物語 なぜ挫折してしまう人が多いの?

紫式部ゆかりの地への旅のプランを練りながら、源氏物語を読んでみようという方も多いと思います。

しかし、挫折してしまう人が多いのが源氏物語。古文ではなく、解説書やまんがから読み始めても、なお挫折しやすいのが特徴です(まんがが入門編の機能を十分に果たしていない)。

その理由はいくつかあります。

①物語の全体の構造を知らないまま読んでしまう

源氏物語は、光源氏の女性遍歴をまとめた話では、断じてありません。

「欠落のある主人公が、多くの困難を乗り越えて夢を追う」という世界の古典的な物語に通底する構造だからこそ、源氏物語は不動の評価を得ているのです。

ポイントは、光源氏が皇族にも関わらず一般姓の「源(みなもと)姓」を得ているということ。光源氏は、母の身分が低く、幼くして皇族から追い出されてしまったのです。

そのどん底から、貴族(現在なら官僚)としての頂点を目指す物語ということを理解すると、非常に読みやすくなります。

源氏物語が「難しすぎる」と思う人は、たった2人の登場人物を理解しておくと簡単になる #1

②登場人物のイメージを具体化しないまま、読み進めてしまう

引用『マンガでわかる源氏物語』池田書店/作・砂崎良、監修・上原作和、絵・亀小屋サト、絵・サイドランチ
引用『マンガでわかる源氏物語』池田書店/作・砂崎良、監修・上原作和、絵・亀小屋サト、絵・サイドランチ

源氏物語に挫折する理由として多いのが、400人(※国文学研究資料館)を超える登場人物の多さ。

特に女性は多種多彩ですので、光源氏とその親友にしてライバルである頭中将(とうのちゅうじょう)をまず押さえておくのが楽です。

また古文を読みこなすのに必須のテクニックが、人物像を素早く具体的につかむこと。おすすめは、現在の俳優さんを当てておくことです。このことで、脳のなかで人物が勝手に動き出し、非常に読みやすくなります。

まず光源氏の外見は、今でいえばHiHi Jetsの作間龍斗さん(※ジュニア公式、大河ドラマ「どうする家康」で豊臣秀頼役)、少し前なら嵐の櫻井翔さんをイメージするとよいでしょうか。

頭中将は、HiHi Jetsなら作間さんと仲がよいという猪狩蒼弥さん(※ジュニア公式)、嵐ならマツジュンのイメージが近いかも知れません。
(いずれも筆者の主観ですので適宜イメージしてください)

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③光源氏の性格や女性遍歴にあまり共感できなかった

末摘花(すえつむはな)は、紅花(べにばな)の別称。
末摘花(すえつむはな)は、紅花(べにばな)の別称。

また、源氏物語を途中で投げ出してしまう方に多いのが、女性を渡り歩く光源氏に、今ひとつ共感できないというパターン。

これは、光源氏が早くに母を亡くしたことを踏まえると、少し理解できるかもしれません。

そして、誤解されやすい光源氏ですが、実は女性を含め、多くの人物に平等に接してきたことが特徴。「光る君へ」の藤原道長の性格描写に非常に近いです。

その性格がもっとも現れるのが、不細工な姫の物語、末摘花(すえつむはな)の巻です。

象のように垂れた、紅花のように赤い鼻が特徴の残念な顔立ちの姫ですが、光源氏は長く資金的な援助を続けました。

源氏物語「何が面白いの?」と思う人も、コント要素がある第六帖ならすぐ楽しめる#2

おすすめ解説書1選

引用『マンガでわかる源氏物語』池田書店/作・砂崎良、監修・上原作和、絵・亀小屋サト、絵・サイドランチ
引用『マンガでわかる源氏物語』池田書店/作・砂崎良、監修・上原作和、絵・亀小屋サト、絵・サイドランチ

最後におすすめの解説書です。

多くの解説書やインターネット上の解説は、源氏物語の各巻や1人1人の人物に目線が近すぎ、そもそも全体を把握していないか、それをうまく説明できていません。

源氏物語は冒頭の「桐壺」から読んでも挫折しやすいのですが、これは、冒頭巻の桐壺のあと、帚木(ははきぎ)、空蝉(うつせみ)、夕顔と、いきなり短編が3つ挿入され、その次の若紫で本線に復帰し、すぐに末摘花へ脱線するといった複雑な構成にあります。

こういったことを端的に説明できているのが、『マンガでわかる源氏物語』(池田書店/作・砂崎良、監修・上原作和)です。

この脱線が分かっていれば、桐壺→若紫と読んでも良いですし、まずは好みの短編から入ることもよいでしょう。

若紫は、かごからすずめが逃げるシーンがあり、くり返し鳥かごが登場していた、「光る君へ」全体のモチーフになっています。

以上、ご参考とされてください。なお、迷う場合は、気軽な短編の末摘花から入ることがおすすめです。

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源氏物語が苦手な人に人気の「末摘花」 不細工な姫の物語(受験ネット)

穴場ずらし旅、愛好家

宿泊歴500泊。関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビ(2023年)、TBSテレビ(2024年)に旅の専門家として登場。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住。

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