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【JAZZ LIVE】ダニ & デボラ・グルジェル・クアルテートTour2015@ブルーノート東京

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、ダニ & デボラ・グルジェル・クアルテートの東京公演。

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ブラジル音楽の最新形“ノーヴォス・コンポジトーレス”を象徴するユニットが今年も日本にやってくる。

2013年には待望のファースト・アルバムとともに初来日を果たし、2014年にはセカンド・アルバムをリリースしての再登場と相成った。

“ノーヴォス・コンポジトーレス”については、彼女らの初来日のステージを見たときのレポートに、以下のように解説している。

2014年の来日時のステージ(サラヴァ東京)
2014年の来日時のステージ(サラヴァ東京)

初の民主的選挙によって大統領に選ばれた独裁者ヴァルガスが1954年に自死すると、クビシェッキ大統領のもとで開発政策を進めたブラジルは、バブルに沸きました。当時の首都リオ・デ・ジャネイロの中産階級のあいだでは、伝統的な民族音楽に飽き足らなくなった学生やミュージシャンが集まっては、第二次世界大戦を境に先進国のトップに躍り出たアメリカ合衆国から流入する音楽を融合した自分たちのサウンドを生み出し、熱狂するようになります。これが“新たな傾向”と名付けられたボサノヴァの誕生でした。

それから半世紀の時を経たいま、ブラジル最大の都市に成長したサンパウロを中心に、ノーヴォス・コンポジトーレスと名付けられた新たな音楽の潮流が誕生しています。

その牽引的な存在が、ダニ・グルジェル。

出典:ライヴらり:ブラジル発“新たな傾向”再び(ダニ&デボラ・グルジェル・クアルテート@サラヴァ東京|音楽ジャーナリスト&ライターの眼(富澤えいち)

今年もさらにアルバムを重ね、“コンポジトーレス=作曲家”としてのポジションをさらに高めた姿を披露しようというのが今年のポイントと言えるだろう。

“作曲という視点”でジャズを凌駕する新たな才能の発露

ブラジルのポピュラー音楽は、大航海時代に南欧で発達した大衆音楽の影響を強く受け、独自の民族的センスを反映して発達していった。

後に北アメリカ大陸で発展することになったジャズとは同じ経路をたどったという意味で“従兄弟”のような関係だが、1950〜60年代にはそのジャズからの影響でボサノヴァが生まれている。

しかしその後のワールド・ミュージックの潮流のなかでは、ポスト・ボサノヴァとして洗練を極めることになったMPBが大きな影響を与える存在になるなど、その主従関係は必ずしも“北高南低”ではなかった。

そうした遺産を活かして、新たなサウンドを生み出しているのが、ダニ&デボラ・グルジェル・クアルテートが主導している“ノーヴォス・コンポジトーレス”なのだ。

聴くたびに、ジャズとは違うスタンスから生まれる斬新なアイデアに驚かされ、これまで体験したラテン音楽の懐かしさを残しながらも“コンテンポラリー”ということを強く意識させる彼女たちのサウンド。さて今年は、どんな新展開を体験させてくれるのだろうか。

では、行ってきます!

●公演概要

9月22日(火・祝) 1st 開場16:00/開演17:00 2nd 開場19:00/開演20:00

会場:ブルーノート東京(東京・南青山)

出演:ダニ・グルジェル(ヴォーカル)、デボラ・グルジェル(ピアノ)、シジェル・ヴィエイラ(ベース)、チアゴ・ハベーロ(ドラムス)

♪DANI & DEBORA GURGEL QUARTETO : BLUE NOTE TOKYO 2015 trailer

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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