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【町田市】「ブラックコーヒーが飲めなかった」コーヒー屋店主の自家焙煎珈琲を飲んで知った「ピュアな」味

tamamim旅するフォトライター(町田市)

古い景観がどこか懐かしい雰囲気を漂わせる、町田市北部の小野路地区。小野路には江戸時代に宿場としてにぎわった小野路宿(おのじじゅく)と呼ばれる場所があり、当時は6軒の宿がありました。中心となる「小野路宿 里山交流館」の周辺は「小野路宿通り」と呼ばれ、風情ある街並みが見られます。

左が小野路宿 里山交流館
左が小野路宿 里山交流館

小野路宿通り沿いに建つ家並
小野路宿通り沿いに建つ家並

関連記事:里山の味覚を楽しむ!地粉100%コシのある小野路うどんとホクホク里山コロッケを食べてきた(小野路宿 里山交流館)

「小野路宿 里山交流館」から歩いて数十メートル先にある「ヨリドコ小野路宿」は、「カフェ」「コミュニティスペース」「訪問看護・リハビリステーション」「竹林(裏山)」が集まった複合施設です。まちの「拠り所(よりどころ)」でありたいと願いこの名称がつけられ、2020年秋にオープンしました。

「町田市の鳥」カワセミが使われているロゴが特徴的。

施設内にあるカフェ「kitchen とまりぎ」では、旬の新鮮野菜プレート「kukunacafe 」、おふくろご飯「里山のおふくろ食堂」、こだわり自家焙煎珈琲「Ramita coffee」など、それぞれ個性のある店長が料理や珈琲を提供しています。

月曜と火曜に、自家焙煎珈琲をメインに提供しているのが「Ramita coffee(ラミータコーヒー)」

ブラックコーヒーが飲めなかった店主が営む、自家焙煎コーヒーのお店です。

「えっ、ブラックコーヒーが飲めなかったのにコーヒー店を営むとはどういうこと?」と、同じくブラックコーヒーが飲めない筆者は興味津々で月曜日を心待ちにして行ってきました。

カフェの看板がある先に進むと、渋い紫色ののれんがあるドアが入り口です。

店内は木目調の落ち着いた空間。暖色系の間接照明がやわらかく室内を照らし、居心地良く過ごせそう。

ブラックコーヒーが飲めなかったのになぜコーヒー店を開いたのか?

砂糖とミルクなしではコーヒーを飲めなかった

「以前はコーヒーに砂糖とミルクを入れないと飲めなかったんですよ」と話すのは、Ramita coffeeの店主武富さん。

飲むとお腹の調子が悪くなったり、胃がキリキリしたり、トイレにすぐ行きたくなったりと、コーヒーが苦手な人が持つ悩みを同じように持っていました。でもそれは「コーヒーを飲んだら普通にあること」だと思っていたと話します。

飲めない原因は「生豆の汚れ」

珈琲豆を輸送する方法は仕入れ元により異なりますが、ほとんどの場合珈琲豆は数ヶ月かけて常温コンテナで海外から運ばれてきます。そのため、生豆にはいくつかの要因が含まれます。※全ての珈琲豆に当てはまるわけではありません。

  • 原産地の水が残っている
  • 化学物質(防カビ剤・防虫剤や残留農薬)が残っている
  • カビ豆・カビ毒がある豆が含まれている
  • 輸送中・保管中の埃や汚れが残っている

「アームズ珈琲」に出会い、コーヒー本来のピュアな美味しさを知る

体質は人それぞれなので全ての人に当てはまるわけではないですが、コーヒーの香りも味も好きなのに「飲めない」のはちょっぴり悲しい...。そんなとき武富さんが出会ったのが「アームズ珈琲」

※一般社団法人日本焙煎技術普及協会(Asociation of Roasting Method Spreading)を略してARMS。
※「アームズ珈琲」「アームズメソッド」「一番出しドリップ」は一般社団法人日本焙煎技術普及協会の登録商標です。

「コーヒーの生豆は、洗うべきか洗わざるべきか」コーヒー業界でたびたび交わされる議論ですが、「アームズ珈琲」で扱う生豆は50度のお湯で洗ったものを使います。しっかり厳選して洗った生豆を使って焙煎しているからか、珈琲豆が宝石のようにきれい

アームズ直営焙煎処で焙煎された珈琲豆
アームズ直営焙煎処で焙煎された珈琲豆

武富さんの師匠、アームズメソッドを考案した竹林さんは、コーヒー好きが高じて10年ほど前に自分で焙煎を始めました。50度という温度を選んでいるのにも理由があります。

アームズ珈琲の詳しいエピソードについては、Oceans2023.11.1配信の記事に書かれているので、興味のある方は読んでみてくださいね。

アームズ珈琲の焙煎手順は以下の通り。

  1. カビ豆、虫食い豆、欠けた豆をじっくりとハンドピック
  2. 50度近くのお湯でこすり洗い
  3. 洗った後にまたハンドピック
  4. 水を切ってから焙煎
  5. ゆっくりと温度を上げながら焙煎
  6. 1週間以上熟成
  7. 一番出汁抽出

カフェで提供しているコーヒーは東京東長崎にあるアームズ直営焙煎処で焙煎した珈琲豆を挽いたものです。

アームズ珈琲に出会ってからブラックコーヒーが飲めるようになった店主武富さんが、飲めない人にも広めていきたいと間借り喫茶として始めたのが「Ramita coffee」。飲む側にとって選択肢が増えるのは嬉しいですね。お店では、抽出する際に旨み成分が濃く出る「一番だし」のみを提供しています。

「小野路」という場所を選んだ理由

自然豊かな小野路の「kitchen とまりぎ」で店舗を募集していると聞き、すぐにコンタクトを取った武富さん。以前は都心のイタリアンレストランで働いていたそうですが、小野路の自然豊かな環境が合っていると笑顔で話します。

kitchenとまりぎカフェのカウンター席から外を見た景色
kitchenとまりぎカフェのカウンター席から外を見た景色

近くの畑で無農薬野菜を栽培したり、同じ志を持つ仲間たちとイベントに出店したりと充実した日々を送っている様子を楽しそうに語ってくれました。

小野路ヨリドコ施設内の竹林(裏山)
小野路ヨリドコ施設内の竹林(裏山)

放置竹林を整備活用する目的で行われたワークショップで作った竹灯籠
放置竹林を整備活用する目的で行われたワークショップで作った竹灯籠

Ramita coffeeの「自家焙煎コーヒー」と、小麦粉不使用「ガトーショコラ」

お店に入ったら、メニューを選んでお会計を先に済ませます。カウンター前にはやくしLocalファーマーズマーケットでもお馴染みの「蜂蜜専科」さんの蜂蜜や近くの作り手さんの焼き菓子などが置いてありました。

関連記事:100%天然成分の「国産はちみつ」はどんな味?ミツバチを飼育してつくる無添加の「百花蜜」

こだわりのドリンクとデザート

ドリンクメニューは自家焙煎コーヒー以外に、「紅茶」や「自家製ジンジャーソーダ」「自家製ジンジャーミルク」などがあります。自家焙煎コーヒーはSmallかRegullarのどちらかを選択。

  • 自家焙煎コーヒー(Small400円 / Regullar550円)
  • アイスコーヒー 550円
  • 温かい珈琲牛乳 650円
  • 冷たい珈琲牛乳 650円
  • 国産紅茶 500円
  • 自家製ジンジャーソーダ 550円
  • 自家製ジンジャーミルク 600円

デザートは、「あんマスカルトースト」「濃厚ガトーショコラ」「自家製ぷりん」などほとんどが自家製です。種類は多くはないですがどれも美味しそう。「濃厚ガトーショコラ」は小麦粉不使用「ミルクジェラート」は自由が丘に店舗がある、イタリアで修行を積んだ女性オーナーが作る「Ami Cono JIYUGAOKA」から仕入れた完全天然素材ジェラートです。

  • あんマスカルトースト 550円(ハーフサイズは350円)
  • 自家製ぷりん 300円
  • 濃厚ガトーショコラ ミルクジェラート添え 550円
  • 無添加ミルクジェラート 500円
  • アッフォガート 550円

自家焙煎コーヒー付きのランチ

ランチメニューは全て自家焙煎コーヒー付き。この日のランチメニューは「バターチキンカレー」「鶏そぼろ丼プレート」「畑の恵みサラダトースト添え」の3種類でした。

こだわりの「自家焙煎コーヒー」と「濃厚ガトーショコラ」を実食

「小麦粉不使用」に惹かれてデザートは「濃厚ガトーショコラ」を選択。コーヒーはSmallではなく敢えてRegullarサイズを選びました。漂う香りに期待が高まります。

無添加ミルクジェラードが添えられた「濃厚ガトーショコラ」はこちら。小野路産の夏みかんから作ったコンポートと、自家製グラノーラが添えられている点にもこだわりを感じます。

「コーヒーってこんなにまろやかで甘いんだ...」と、初めて出会う味に感動。店主と同じ理由でコーヒーがブラックで飲めない筆者でも、これなら飲める...と、最後のひとくちまでブラックでいただきました。

「濃厚ガトーショコラ」は看板メニューにしても良いのではないかと思う感動の味。ショコラが濃厚でありながらほろほろっと溶けていく...。口の中でとろけるガトーショコラをぜひお店で味わってもらいたいです。

ミルクジェラードも夏みかんのコンポートもグラノーラも、こだわって厳選されただけあり、ガトーショコラとの相性が抜群でした。これなら10皿くらい一度にいけそう(笑)...そう思いながら、惜しむように最後のひとくちまでペロリといただきました。

Ramita Coffeeの今後の展望・展開にも期待

「いつかは自分のお店を持ちたい」と語る武富さん。取材をしている間にも町内会の会長さんが仕事の合間にふらり訪れたり、地元の方が立ち寄ったりと、「Ramita coffee」はすっかり地域に根付いている様子。

今回話を伺っていて、安心安全な美味しいものを自然あふれるこの場所で提供したい、そんな思いが熱く伝わってきました。

「Ramita coffee」は現在Instagramでのみ発信をしていて、小野路の自然の中で過ごす様子を紹介しています。最初に紹介した「里山のおふくろ食堂」は、「Ramita coffee」が息子という設定で店主がプロデュースしているので併せてご覧くださいね。※里山のおふくろ食堂は月に1,2回の限定営業です。

ワクワクすることが起きそうな「Ramita coffee」のこれからの展開にも期待したいです。

※表示価格とメニューは2024年5月時点のものです。

【Ramita coffee(ラミータコーヒー)】
住所:東京都町田市小野路町892-1 ヨリドコ小野路宿(kitchenとまりぎ)
TEL:(代表)042-860-5950 /(kitchen とまりぎ)042-860-5939
営業日:Ramita coffeeは月・火のみ ※kitchen営業はホームページで確認
営業時間:11:00〜17:00(Ramita coffee)
駐車場:3台スペースあり
アクセス:小田急線鶴川駅の場合 北口5番乗り場から小野路経由多摩センター駅行き(鶴32系統)、または町田バスセンター行き(町36系統)のバスで所要時間13分、「小野神社前」下車、徒歩2分 / 小田急線・JR 横浜線町田駅の場合 町田バスセンター14 番乗り場から図師・五反田経由鶴川駅行き(町36系統)のバスで所要時間約30分、「小野神社前」下車、徒歩1分
URL:ヨリドコ小野路宿公式サイト / Instagram(Ramita coffee) / 通販サイト
取材・校正協力:Ramita coffee 武富様

アームズ珈琲を購入できる通販サイトはこちら。

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旅するフォトライター(町田市)

旅ブログ「旅とカメラと日々の雑記帳。」にて旅のお役立ち情報を発信中。渡仏歴17回フランスの田舎を巡り暮らすように旅することも。Nikonのミラーレスカメラを愛用。行ってみたいと思えるような町田市の魅力をお届けいたします。第57/59富士フィルムフォトコンフォトブック部門優秀賞受賞。2024年2月/3月度MVA受賞。

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