地下空間への水害が注目されはじめた17年前の福岡水害
梅雨前線が東日本から西日本に停滞し、暖かくて湿った空気が入りますので、今週は雨が降る地方が多くなりそうです。
特に、九州北部から中国地方では、週の前半には大雨の可能性があります。
これまでの大雨で地盤が緩んでいる所に降る大雨ですので、土砂災害に警戒が必要です。
それと同時に、地下空間の防災に対して意識することが大切と思います。
都市化に伴い地下空間の水害が問題になった17年前の梅雨
今から17年前、平成11年(1999年)の梅雨前線は、6月23日から7月3日にかけて活発となり、西日本から北日本の各地で土砂災害や浸水被害が発生し、全国で死者・行方不明者39名、浸水家屋2万棟などの大きな被害が発生しています。
特に、6月28日から29日は、中部、四国、九州北部で1時間に100ミリ近い激しい雨が降っています(図)。
福岡市では、6月29日に1時間に79.5ミリという強い雨が降り、地下街に水が流れ込んで1人が死亡しています。
このとき、防災関係者は、地下街に水が流れ込み死者が出たということで、新しいタイプの水害が発生しはじめたのではないかとショックを受けています。そして、地下空間への水害が注目され始めました。
その約1ヶ月後、7月21日には東京都新宿区で、発達した雷雲により1時間に131ミリという雨が降り、地下室に流れ込んだ水で、またも1名が死亡しています。さらに、翌12年9月の東海豪雨では、名古屋市の地下鉄が浸水で最大2日間も運転を停止し、約47万人の足に影響しています。
さらにさらに、福岡市では、平成15年7月の集中豪雨のときも、地下鉄などの地下空聞が浸水するなど、地下空間での水害が発生しています。
災害の都市化
都市化が進み、東京や大阪などの大都市を流れる河川の氾濫原には数多くの地下施設があります。地下鉄網がはりめぐされ、ターミナル駅にはおおきな地下街があり、ほとんどのビルに地下階があります。
一般家庭でも地下室が作られ始めています。
地下空間へ氾濫流が進入するという新たな水害では、
1 外の情報がわからないこと
2 地上が浸水すると一気に水が流れ込んでくること、
3 浸水すると電気が消え、エレベーターは使えないこと、
4 逃げようとしても水圧でドアが開かないことなど、大規模災害の危険性を含んでいます。
このため、地下空間の水害にどのように対処するかと言う検討が始まり、具体的な対策がとられています。
しかし、地下空間は拡大を続けており、地下空間における水害対策は、今後の水害対策にとって、重要な課題の一つになっています。
油断できません。