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創業当初の味を守り続ける〈特製辛味だれ入り小郡系豚骨ラーメン〉飽きのこない手仕込み感のある素朴な一杯

RAMEN ANTENNAラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

2005年に福岡県福岡市中央区の春吉で創業した〈らーめん屋 鳳凛〉。お昼は辛味だれ入りの豚骨ラーメンを提供し、夜はラーメン居酒屋として、朝5時頃まで営業する人気のお店だった。2011年には同中央区今泉にもう1つ店を構え、やはりお昼はラーメンを、夜は焼鳥を中心とした居酒屋メニューも提供するラーメン店として人気を獲得。両店舗とも時間を選ばず利用しやすい通し営業の路面店だったこともあり、当時は定期的に訪問していた。現在は、その2店舗に加えて同南区にあった「長丘店」、福岡県筑紫野市にあった「筑紫野店」も撤退し「らーめん屋 鳳凛 那珂川店」「らーめん屋 鳳凛 雑餉隈店」の2店舗が以前の名残を残したまま営業を続けている。さらに最近は郊外型の(フランチャイズの)店舗として、2020年(令和2年)3月に開業した〈らーめん屋 鳳凛 榎田店〉や、同年の4月に開店した「らーめん屋 鳳凛 原田店」もあり、創業当時とはまた違った別の流れの展開になっているようだ。

専用駐車場を完備する郊外型の店舗

この日、訪問したのは福岡県福岡市博多区榎田の〈らーめん屋 鳳凛 榎田店〉の開店直後。従来の昔懐かしい雰囲気を残す店舗とはちょっと違った展開で、大きめの専用駐車場を完備している郊外型の店舗。グループやご家族連れでも安心して訪れやすい店舗になっている。

そんなお店に一歩入ると、まだ真新しいきれいな空間が広がる。入口左手には最新のハイテク券売機が2台設置され、まずは食券を購入するシステムになっている。最上段左上のメニュー「味玉らーめん」にするつもりが、ちょっと心変わりしてベーシックな「らーめん:690円」に、トッピング用の「生たまご:100円」を選択し発券。

広々としたゆったりくつろげる空間

カウンターの端っこに着席し、食券を手渡しながら麺の硬さは「カタ」で注文した。ちなみに客席は、カウンターが20席ほどとテーブル席が10卓ほど。掃除の行き届いた清潔感もある、ゆったりとくつろげる空間になっている。

手仕込み感のある素朴な味わいの一杯

大きめのオープンな厨房内で一杯一杯丁寧に仕上げられる「らーめん」を待つこと少々。配膳された「生たまご」がトッピングされた「らーめん」は、2005年の創業当初から変わらない、純豚骨のスープ、自家製の麺、特製の辛味だれと、それぞれが織りなす味わいがバランスよく融合しながらも、手仕込みの雰囲気も感じられる素朴な印象の一杯に仕上がっていた。

辛味だれを溶かす前に、ひと口スープを啜るとそのままでも十分美味しく、豚骨本来の旨みと出汁感も味わえる。麺は細めのストレートで、コシの強めなパツパツ食感が心地いい。

その後、特製の辛味だれを徐々にスープに馴染ませ唐辛子の風味も感じつつ、辛さよりも旨みが口いっぱいに広がる。さらに生たまごをレンゲに乗せ、麺を絡めながら食べ進めると、まろやかな味わいへと変化していく過程も楽しめ、たいへん美味しくいただきました。

小郡系ラーメンのこと

元々は、福岡県の小郡にあった伝説の辛味だれ入りの豚骨ラーメン店が象徴的に起源とされる。その味を実際に継承したお店は福岡市内へと移り、その後は全国区となり本家・本流の、誰もが知る超有名店へと成長。その後、その味をインスパイアしながら意識的に派生した個店が増えてきたことから、それらの派生系のお店を総称して「小郡系ラーメン」という系統だてが生まれたと聞く。自身も数十年前「本家・本流」のお店が福岡市内に創業(初登場)した当初、その味を初めて体感した時の衝撃とともに、その後は毎日のように通い続け、こんな美味しいラーメンがあるんだと感動した日々のことを今もなお覚えている。また、この味が全国区となり、知る人の分母が大きくなるにつれ「小郡系ラーメン」という別系統が生まれたのはラーメンシーンの一時代を築いた大きな潮流の一つ。その味の要となるのは、純豚骨のスープ、細ストレート麺、ネギ、辛味だれという基本的な構成はどこも同じだけど、実際の味わいは、各個店ごとの差異(考えや意見等の相違も含め)も当然ありながら独自の仕様を取り入れているお店も存在する。しかしながら、その構成要素によって当時のことを懐かしく思い起こさせてくれる「小郡系ラーメン」には心から感謝しつつ、今も変わらず思い入れのあるラーメンである。

らーめん屋 鳳凛 榎田店

住所  :福岡県福岡市博多区榎田1丁目2-6
[地図
営業時間:11時00分~23時00分
定休日 :不定休 ※要確認
駐車場 :専用駐車場あり

ラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

福岡の片隅で日常食としてのラーメンを啜り続け、日々頭の中でグルグルとラーメンが廻っています。一日一麺、週間9麺、毎年450麺ほどを食べています。福岡の地元民が日々食べているラーメンをできるだけ多くの方に知っていただきたいという想いから肩肘張らない感度緩めな『ラーメンアンテナ』をお届けしています。少しでも福岡での麺活の参考になれば幸いです。〈 Horii Koji 〉

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