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都心タワマンより手に入れにくい小規模・中低層マンション、これからの狙い目物件が判明

櫻井幸雄住宅評論家
最新のマンション人気指数調査で第1位となった「ブランズ自由が丘」。筆者撮影

 今年1月から3月に販売された新築分譲マンションで、人気が高かった物件を集めたら、全国で148物件あった。

 そのうち、極めつきの高人気マンションと判定されたのが、以下の4物件。

1位 ブランズ自由が丘(東京都世田谷区)

2位 ザ・パークハウス 大濠翠景(福岡県福岡市)

3位 ブランズ渋谷代々木公園(東京都渋谷区)

4位 ザ・パークハウス 千代田六番町(東京都千代田区)

 いずれも便利な中心地に立地しながら、周辺環境がよい、という好立地のマンションであり、価格は高い。東京23区内のものは2LDKで軽く1億円以上という水準である。にもかかわらず、「ブランズ自由が丘」と「ブランズ渋谷代々木公園」そして「ザ・パークハウス 千代田六番町」は早々に完売してしまい、もう購入することができない。

 あっという間に売り切れてしまったのは、中低層の建物で、総戸数が少ないことも理由だろう。1位から順に総戸数を記すと、24戸、30戸、31戸、48戸となる。都心部に建設される超高層マンションが総戸数500戸とか800戸というビッグスケールになることと比べると、わずかな戸数……。だから、買いにくいし、そもそも大々的な広告を出されないので、多くの人は「そんなマンション、知らなかった」ということになってしまう。

隠れた人気物件が浮かび上がる調査結果

 今回紹介した人気マンションは、2011年から調査し続けている「マンション人気指数」で明らかになったものだ。

 「マンション人気指数」は、全国の新築分譲マンションを対象に調査を行い、年4回公表し続けている私の独自データである。

 今回調査では、今年1月から3月までの販売中マンションを対象に、資料請求数と販売センターへの来場者数を調べて「人気指数」を算出。その全リストと計算方法は私のオフィシャルサイトの記事独自調査で注目物件が判明 全国新築マンション「人気指数」 第6回 2024年1月~3月速報で説明させていただいた。

 日本全国の人気マンションリストはデータ量が多いため、ここでは人気指数が特に高かったマンションを紹介させていただく。

高人気の中低層マンションはすぐに売れる

 人気指数が極めて高かった4物件は前述したとおり、小規模のマンションだった。そして、すでに多くが完売しているのも記したとおりだ。

 小規模の中低層マンションは、環境のよい一戸建て住宅地内に建設されるケースが多い。

「ブランズ自由が丘」の建設地は、自由が丘駅に近い一戸建て住宅地にある。便利なのに環境がよいのも、人気の理由だと考えられる。筆者撮影
「ブランズ自由が丘」の建設地は、自由が丘駅に近い一戸建て住宅地にある。便利なのに環境がよいのも、人気の理由だと考えられる。筆者撮影

 そのため、建設地近くに住む人は工事が始まる前、建設予定の看板が出た時点で注目する。結果として、地元に住む人が真っ先に買ってしまい、他地域の人は「そんなマンションが売られていたことを知らなかった」となりがちなのである。

 購入できず、残念な思いをする人が多いため、「マンション人気指数」の調査では、販売開始前物件での人気度も調べている。

 それは、資料請求数から調べる「事前人気指数」というもので、販売が始まれば購入者が多くなり、短期間に完売する可能性がある新築マンションをいち早く見つけ出す指標である。

 この「事前人気指数」を活用すれば、目立ちにくい小規模・中低層マンションを知ることができる。地元に住んでいなくても、人気物件をゲットできるわけだ。

これから販売される小規模・中低層は

 今回調査で、事前人気指数が高い、と判定されたマンションは全国で36物件。そのなかで、最高値となったのは大阪市内の「ローレルアイ天満宮」。全18戸の小規模なので、販売が始まれば、瞬間蒸発的に完売する可能性が高い。

 それに続く人気物件として、「パークタワー大森」(全97戸)や「クレヴィア荏原町GARDEN」(全71戸)がある。2つは東京23区内のマンションだ。

 さらに、6階建てまでの中低層マンションで、事前人気指数が高いマンションとしては東京23区内の「プレミスト世田谷梅丘」(全29戸、4階建て)や「ジオ市谷仲之町」(全40戸、5階建て)、サンウッド大森山王三丁目(全21戸、5階建て)、神奈川県横浜市の「クレヴィア横浜沢渡」(全36戸、6階建て)などが浮かび上がった。これらも注目物件といえる。

 今回、「マンション人気指数」の調査で上位に入った物件には「晴海フラッグ」や「三田ガーデンヒルズ」に匹敵するような有名物件が見当たらない。投資目的ではなく、自ら住む目的で購入を検討している人向きのマンションが中心になっている。

 これは、マンション市況が正常に戻ってきた証なのかもしれない。「マンション人気指数」の調査から、不動産市況のいろいろな側面がみえてくるようだ。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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