動物系素材不使用のジャンクなまぜそば? 『博多一風堂』39年目の新作ラーメンを忖度なくガチ検証する
『博多一風堂』創業39周年記念メニュー
1985年創業。福岡大名の路地裏の小さなラーメン店からはじまり、今や国内外に数百店舗を展開するラーメン店が『博多一風堂』(本店:福岡県福岡市中央区大名1-13-14 運営:株式会社力の源カンパニー)だ。ラーメン業界はもちろんのこと、外食業界のトップランナーとして日本の食文化を世界に広げている。
そんな『博多一風堂』が、10月16日の創業日に「創業39周年記念メニュー」として、新たなラーメンを発表した。その名も「39 LOVE&PEACE(サンキュー ラブ&ピース)」。リリースによれば「動物性食材に頼らない植物性由来の、まさに未来のラーメン」とある。
『博多一風堂』はこれまでもラーメン業界を変革してきたイノベーター。そんな一風堂が提案する「未来のラーメン」とはどんなラーメンなのか。リリースや写真だけでは分からない。実際に食べてみて一切忖度することなく、ガチで検証してみたいと思う。
植物性素材だけで作った「甘辛ジャンクまぜそば」
「創業39周年記念メニュー」として数量限定、期間限定で登場した新作ラーメン「39 LOVE&PEACE」。一言で言えば動物系素材不使用、植物性素材のみの「プラントベースまぜそば」ということになる。これまでも『博多一風堂』は「プラントベースラーメン」の取り組みを積極的に行っており、その経験が生かされた形だ。
具材は植物性由来によるベジミートを使った「スパイシーベジそぼろ」や、茹でたキャベツとモヤシ、さらには赤タマネギ、ネギ、プチトマトなどの野菜、さらに味付けキクラゲやパプリカのピクルス、食感のアクセントとしてグラノーラも別添えで提供される。
麺は動物系素材である卵を使わない「パスタフレスカ」の太麺を採用。スープは豆乳ベースの出汁にアーモンドミルクやオーツミルク、きのこペーストを合わせた。まぜそばと言いながらも丼の半分弱はスープが入っているので、ラーメン的な表情も持っている。
プラントベースだということを忘れるガッツリ感
ラーメンに限らずプラントベースの料理は、良く出来ていると感心すると共に、でもどこか物足りなさを覚えるのも事実。しかしこのまぜそばは、ジャンクでガッツリとした味わいになっていたのにまず驚いた。キャベツやモヤシと太麺を一緒に食べていると、いわゆる「ガッツリ系」のまぜそばを思い出し、プラントベースであることを忘れてしまったほどだ。
プラントベースなのに物足りなくないのは何故か。その理由はおそらくベジミートを使ったそぼろにある。スパイシーなソース風味のそぼろはしっかりと濃いめの味付けで、物足りなさを感じさせないのだ。またスープのきのこペーストもどっしりとした旨味を加えていて、様々な食感の具材もアクセントになっていて食べ飽きることがない。ピクルスの酸味も良い差し味になっているし、無料のニンニクを頼めばさらにガッツリなブーストをかけることも出来る。
プラントベースのスープありラーメンの場合は、なかなかガッツリタイプや濃厚タイプの表現が難しい部分がまだまだあると思うが、こういうまぜそばアプローチであれば十分満足出来るレベルに達することが分かった。様々な理由で動物系素材を摂取出来ない人たちがいる中で、このメニューはまさに「未来への希望」ではないだろうか。期間限定メニューと言わず、是非ともこのアプローチのプラントベースラーメンを、レギュラーメニューとして開発して貰いたいところだ。
残ったスープをどうすればいいのか問題
忖度なくガチ検証と言った手前、重箱の隅を突いてでも粗探しをしようかと思ったが、本当に完成度が高くてダメ出しする点が見当たらない。そんな中で敢えて突っ込むとするならば、スープがそれなりに入っていてかなりあまるのだが、『博多一風堂』的にはこの食べ終わった後のスープをどうすべきと考えているのだろうか。その提案は一切なかった。
味が濃いのでそのまま飲むのは難しいし、そもそもレンゲもついて来ないので飲ませるつもりはなさそうだ。かと言ってつけ麺のようなスープ割もないし、まぜそばによくある小ライスもついていない。残す前提であれば、正直スープの量は多過ぎる。いっそここに豚骨スープを足して、替え玉を入れてスパイス豚骨ラーメンにしてしまうのも楽しそうだが、プラントベースでは無くなってしまうので難しい。
最後に無理やり文句をつけてしまったが、『博多一風堂』の創業39周年記念メニュー「39 LOVE&PEACE」は、プラントベースとは思えないパンチのあるガッツリまぜそばだった。ガッツリ系ラーメンの好きな方や、まぜそば好きな方にはオススメ出来る一杯だ。数量限定、期間限定メニューなので興味のある方はお早めにどうぞ。
(販売期間や店舗などの詳細は『博多一風堂』のプレスリリースにてご確認下さい)
※写真は筆者の撮影によるものです(出典があるものを除く)。
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