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文科省の「言葉遊び」は続く どこへ行くのか部活動の地域移行

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 12月27日、休日の部活動を地域移行するための、スポーツ庁と文化庁が策定した「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が公表された。2023年度からの3年間を「改革集中期間」としていたものが「改革推進期間」と改められた。実質的な達成目標の取り下げでしかない。

| 指導者不足は以前から指摘されていたはず

 これを伝える『教育新聞』(12月28日付 Web 版)は、言葉表現が変わった理由を「有識者会議の提言を受け23年度から3年間を移行期間とした。ところが、これまで学校の施設を利用し、教員が指導していた部活動を地域移行するにあたっては、指導者、運営主体、利用施設の確保の問題が浮上」したためだとしている。

 しかし、指導者不足は最近になって浮上してきた問題ではなく、地域移行の話がでてきた初期のころから指摘されていたことだ。それに対してスポーツ庁や文化庁をはじめとする文科省が、効果的な策の提案、実施をしてこなかったのも事実である。

 それでも、文科省は3年間での達成目標の方針を変えなかった。2023年度に全国の公立中学校の3割で地域移行をスタートさせるために、文科省は2023年度予算で118億円を要求したものの、認められたのは28億円でしかなかった。3年間での目標達成の先行きが危うくなったのだが、永岡桂子文科相は12月16日に「25年度末までということは、軽々に、それを外すということは申し上げられません」と達成目標にこだわった。

 ところが27日に公表されたガイドラインでは、25年度末までの3年間は「改革集中期間」から「改革推進期間」に変更された。「取り下げた」「外した」という言葉こそ使っていないが、ただの「言葉遊び」でしかなく、達成目標を取り下げたのと同じである。

 達成目標を掲げてきた文科省の責任をあやふやにしているにすぎない。これでは、部活動の地域移行に文科省が本気で取り組むのかどうか、地域移行を実施する立場である各教育委員会なども疑わしくなってくるはずだ。部活動の地域移行がすすんでいくとはおもえない。地域移行がほんとうに必要だとすれば、いまは言葉遊びをしている場合ではない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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