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「パ37年ぶり」&「球団83年ぶり」の快挙達成したソフトバンク野村勇。2年目は”ダブルスリー”が目標

田尻耕太郎スポーツライター
2年目のジンクスなんて乗り越えろ!

 昨年はルーキーながら「2桁本塁打&2桁盗塁」を記録したソフトバンク・野村勇内野手。2年目のシーズンに向けた自主トレを1月7日に公開した。チームの先輩である牧原大成内野手に弟子入りする形で、同5日より福岡県久留米市でトレーニングをスタートさせている。

 この日は標高約312メートルの高良山の頂上近くにある高良大社で階段を駆け上がるなど下半身強化に努めた。その後は絵馬に「レギュラー獲り」としたためて、プロ2年目への決意を改めて強くした。

昨季は10本塁打、10盗塁

 ルーキーイヤーは97試合出場で打率.239、10本塁打、25打点、10盗塁を残した。入団1年目の2桁本塁打、2桁盗塁の同時達成はパ・リーグでは1985年の熊野輝光(阪急ブレーブス)以来37年ぶり。さらに10発は球団の新人タイ記録で1939年の鶴岡一人が樹立して以来、じつに83年ぶりに肩を並べる快挙だった。

 一定の自信を得たものの満足感は全くない。

「試合に出たり出なかったり。代走要員という起用が多かったと思っています」

 守備位置はショートを基本線に「今宮(健太)さんとしっかり勝負をして勝ちたい」と意気込みつつ、複数ポジションを守れる守備力を活かして出場増の機会を狙っている。

「ただ、やっぱり打たないと試合には出られない」

ミートポイント改造で課題克服へ

明るいキャラも持ち味。この日もよく声を上げながら練習していた
明るいキャラも持ち味。この日もよく声を上げながら練習していた

 昨年はプロでも通用するパンチ力を証明した一方で、確実性の課題は残った。打率向上に加えて、203打席で64三振を喫しており粘りや嫌らしさの向上も求められる。

「克服できるように考え方だったり、ちょっとした形だったり少し変えようかなと思っています」

 その中で、ミートポイントの改造に着手している。

「バッティングに奥行きがないなと感じたんです。一番前(のポイント)で打っていた。打球は飛びやすいけど、自分がとらえるポイントからズラされると対応できなかった。そうなっても拾えるように、ミートポイントの幅を広げたい。なので、ちょっと呼び込むイメージですかね」

人生最高体重

 この日、久しぶりに姿を見たが、胸板が分厚くなって逞しさが増したように見えた。「ただ太っただけです」と苦笑い。昨季のシーズン中よりも4、5キロ増えて人生最高体重の87キロあるという。

「1年目である程度ホームランを打って数字も出した。それを上回る期待をされると思うので、その期待に応えられるようにしっかり仕上げたいなと思ってます。30本塁打、30盗塁を狙っていきたいです」

 打率3割が加わればトリプルスリーの快挙になるが、まずは”ダブルスリー”でスター選手の仲間入りへの足掛かりにしたいところだ。

 球界にはかねてより「2年目のジンクス」という嬉しくない言葉が言い伝えられているが、野村勇はその名の如く勇猛果敢に2023年を突き進んでいく。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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