メッシとアルバのホットラインが復活。クーマン体制の攻撃の担い手は左サイドに。
バルセロナが、調子を取り戻そうとしている。
今季、バルセロナは序盤戦で苦しんだ。この夏にリオネル・メッシが退団を申し出、その余波でジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長が辞任。来年1月24日に会長選が行われる予定で、クラブが揺れる中、チームは一時リーガエスパニョーラで13位まで順位を落とした。
しかし、先の試合で今季首位を走っていたレアル・ソシエダを叩き、バルセロナは再び5位に浮上した。アトレティコ・マドリー、レアル・マドリーが射程圏内に入ってきた。
復調の背景にあるのがジョルディ・アルバとメッシのホットラインだ。
■バルセロナのカンテラーノの帰還
「アビダルのような選手か、(ダニ・)アウベスのような選手か、迷っていた。アビダルのようにセンターバックでもプレーできるサイドバック。あるいは、アウベスのように攻撃で深みを与えてくれるサイドバックだ。最終的に、アルバを選んだ。彼はリーガとバルサのプレースタイルを理解している」
これは当時スポーツディレクターのアンドニ・スビサレッタの言葉だ。エリック・アビダルの後継者を探していたバルセロナは2012年夏にジョルディ・アルバを獲得。移籍金1400万ユーロ(約18億円)をバレンシアに支払った。
以降、ジョルディ・アルバがバルセロナの左SBを我が物とした。アドリアーノ・コレイア(移籍金950万ユーロ/約11億円)、ルカ・ディーニュ(移籍金1600万ユーロ/約19億円)、ジュニオール・フィリポ(移籍金1800万ユーロ/約21億円)といった新戦力も、マルク・ククレジャ、フアン・ミランダといったカンテラーノも、レギュラーポジションを奪取できなかった。
ジョルディ・アルバ自身、バルセロナのカンテラーノだ。1998年から2005年までバルセロナのカンテラに在籍。だが彼はフィジカルの弱さが指摘され、16歳の時に放出された。コルネジャという街クラブに移籍した後、バレンシアに引っ張られた。ナスティックへのレンタル移籍を経て、2009-10シーズンからバレンシアで主力になった。
ジョルディ・アルバが、バルセロナで例外的にスタメンから外れていた時期がある。ルイス・エンリケ監督(現スペイン代表)が【3-4-3】を採用していた頃だ。チャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦で奇跡の大逆転劇を演じた時、そこにジョルディ・アルバはいなかった。
ジョルディ・アルバとL・エンリケの関係性は決して良好には見えない。現在、スペイン代表ではホセ・ルイス・ガヤとセルヒオ・レギロンが左サイドバックで呼ばれている。エルネスト・バルベルデ元監督がバルセロナの指揮官に就任した際には、「僕としてはルイス・エンリケがいた時よりは良くなる。思うようなプレータイムを得られていなかった」とアルバが発言した。
■徹底したコンディション管理
そして、バルベルデ、キケ・セティエン前監督、ロナルド・クーマン監督はジョルディ・アルバに節大な信頼を寄せた。
今季、バルセロナのリーガの出場時間数は1位フレンキー・デヨング(12試合/1070分)、2位メッシ(12試合/1035分)、3位アルバ(11試合/951分)、4位アントワーヌ・グリーズマン(12試合/858分)となっている。
ジョルディ・アルバはトップ3に入っているのだ。いま、彼はパーソナルトレーナーを雇っていおり、また栄養面に気を遣いコンディションの管理を徹底している。
「どんな選手でも、メッシと理解し合えるはずだ。彼はすべての選手を向上させてくれる」
これはジョルディ・アルバの言葉だ。ネイマールが去り、ルイス・スアレスが去り、「MSN」は解体された。だが、ジョルディ・アルバは現在もメッシの最高のパートナーの一人として左サイドを駆け上がり続けている。