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エンジェルスの一塁手が継続中の「デビューから20試合連続出塁」はどれくらい珍しいのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノーラン・シャヌエル(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月13日、ノーラン・シャヌエル(ロサンゼルス・エンジェルス)は、3打数0安打に終わったものの、3打席目に四球を選んだ。

 先月18日にメジャーデビューし、この日は出場20試合目。それまでも、出塁が皆無――安打、四球、死球のいずれもなし――の試合はなかった。

 シャヌエルが塗り替えるまで、エンジェルスの選手による、デビューからの連続試合出塁は、ダリン・アースタッド(1996年)の15試合が最も長かった。エンジェルスのゲーム・ノーツによると、シャヌエルとアースタッドに次ぐのは、ケント・アンダーソン(1989年)の11試合だ。

 アースタッドとシャヌエルの間には、四半世紀以上のブランクがある。また、この間に、デビューから11試合以上続けて出塁したエンジェルスの選手はいなかった、ということになる。

 例えば、マイク・トラウトの場合、このストリークはゼロだ。2011年7月8日の初出場は、3打席とも討ち取られた。2018年にデビューした大谷翔平は、最初の4試合とも安打を記録したが、代打出場の5試合目は内野ゴロに終わり、ストリークは途切れた。

 ローガン・オホッピーは、昨シーズンから今シーズンにかけて、デビューから8試合連続出塁。ザック・ネトは、最初の2試合とも出塁がなかった。

 一方、エンジェルス以外のチームでは、クリストファー・モレル(シカゴ・カブス)が、昨年5月17日の初出場から6月10日の22試合目まで、どの試合も出塁を記録した。

 昨シーズンがモレル、今シーズンはシャヌエル。メジャーリーグ全体において、デビューから20試合以上の連続出塁は、相次いでいる。

 もっとも、メジャーリーグ全体では珍しくないが、エンジェルスは例外、ということではない。今世紀に限ると、デビューからの連続出塁が20試合以上は、モレルとシャヌエルの他に、2003年のロッコ・バルデリ(当時タンパベイ・デビルレイズ/現ミネソタ・ツインズ監督)しかいない。20年前のバルデリは、開幕から24試合目まで、出塁なしがなかった(この間の出場は25試合だが、0打席の1試合は含まない)。

 シャヌエルは、このストリークを継続しているだけでなく、打率.276と出塁率.409を記録している。93打席で76打数21安打、15四球(うち敬遠四球1)と2死球で、三振は12。四球率は16.1%、三振率は12.9%だ。

 ただ、21安打のうち、長打は、8月28日に打った二塁打が1本だけ。長打率は.289、ISOは.013に過ぎない。OPSは.698だ。シャヌエルが一塁を守っていることを踏まえると、パワーの欠如はさらに際立つ。サンプル数は多くないとはいえ、来シーズンの一塁手はシャヌエルでいいのだろうか、という疑問も生じる。

 デビューまでのシャヌエルについては、こちらで書いた。

「エンジェルスが今年のドラフト全体11位をメジャーデビューさせる。今年と来年のどちらに向けた動き!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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