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エンジェルスが今年のドラフト全体11位をメジャーデビューさせる。今年と来年のどちらに向けた動き!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
Jun 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月18日、ロサンゼルス・エンジェルスは、一塁手のC.J.クロンを故障者リストに入れ、こちらも一塁手のノーラン・シャヌエルを昇格させた。

 シャヌエルは、今年のドラフト全体11位だ。先月下旬にプロとしてデビューし、ルーキークラスの3試合とAの2試合、AAの16試合に出場。計21試合でホームランは1本ながら、打率.370と出塁率.510を記録している。21四球を選び、三振は10だ。

 パワーがないわけではなく、フロリダ・アトランティック大では、3シーズンの計172試合で46本のホームランを打っている。大学通算の打率と出塁率は.386と.516、四球率は17.0%、三振率は7.0%だ。盗塁も31を数える。

 8月18日の試合に、シャヌエルは「1番・一塁」として出場する。ドラフトから40日でメジャーデビューは、ベースボール・アメリカのJJ・クーパーによると、野手では史上5番目の速さ。1972年のデーブ・ロバーツ(1日)、1978年のボブ・ホーナー(10日)、1973年のデーブ・ウィンフィールド(14日)、1978年のブライアン・ミルナー(17日)に次ぐという。

 ロバーツは、ロサンゼルス・ドジャースの監督とは別人だ。ホーナーは、1987年にヤクルト・スワローズでプレーし、93試合で31本塁打を記録した。ウィンフィールドは、殿堂入りしている。ミルナーの息子は、ミルウォーキー・ブルワーズのリリーフ投手、ホビー・ミルナーだ。

 8月に入ってから、エンジェルスは15試合で11敗を喫し、ポストシーズン進出の望みは薄れつつある。ただ、今オフにFAとなる大谷翔平を引き留めるためにも――そうできるとは思わないが――ここであきらめることはできない。

 その一方で、シャヌエルの昇格は、来シーズンに向けた動きでもあるはずだ。今シーズンのエンジェルスに、一塁手として25試合以上に先発出場の選手は皆無。シャヌエルは、12人目となる。ここから、シャヌエルが結果を残せば、今オフ、エンジェルスは一塁手を探さなくてもいい。

 FAになるまでの期間は、メジャーデビューが来シーズンの開幕だった場合と同じ。短くはならない。また、今年のレギュラーシーズンはあと45日なので、シャヌエルの打数が130を超えなければ、来シーズンもルーキーのままだ。新人王の対象となる。

 エンジェルスと同じように、この日、セントルイス・カーディナルスも、遊撃手のメイシン・ウィンをAAAから昇格させ、「9番・遊撃」としてメジャーデビューさせる。

 ウィンは、2020年のドラフト2巡目・全体54位。今シーズンは、AAAで105試合に出場し、打率.288と出塁率.359、18本塁打と17盗塁を記録している。カーディナルスが今年のポストシーズンに進出する可能性は、エンジェルスよりもさらに低い。

 なお、エンジェルスは、捕手の入れ替えも行った。4月下旬から故障者リストに入っていたローガン・オホッピーを復帰させ、チャド・ウォラックをDFAとした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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