カルフォニア山火事地獄、トランプ大統領も”炎上”-州知事が猛批判「神の怒り、パリ協定離脱が招いた」
米国カルフォニア州・ロサンゼルス近郊で、今月4日に発生した大規模な山火事の被害が凄まじい。これまでの焼失面積は、約11万ヘクタール、つまり東京都23区の約1.7倍。周辺住民20万人以上が避難を余儀なくされた。この大規模山火事は、ドナルド・トランプ大統領も“炎上”させようとしている。米国の大手テレビネットワーク・CBSの報道番組『60ミニッツ』に出演したカルフォニア州のジェリー・ブラウン知事が「トランプ大統領は『神の怒り』を招いている」と批判。地球温暖化の進行により、カルフォニア州での山火事発生が常態化しつつあることに危機感を訴えた。
カリフォルニア州の山火事現場は文字通りの地獄絵図(米ABC放送の動画)
◯加州知事、各国メディアがトランプ大統領を批判
ジェリー・ブラウン知事は、今月10日放送の『60ミニッツ』で、カルフォニア州で頻発している山火事は、地球温暖化の影響だとして、温暖化防止のための全世界的な枠組みである「パリ協定」を、トランプ政権が否定、離脱を表明していることについて、「事実に対する無謀な無視」「神の怒りを招いてる」と、猛批判した。
地元紙ロサンジェルスタイムスも今月14日付けのコラムで、『60ミニッツ』のブラウン知事の発言を引用しつつ、その主張に同調。ブラウン知事が今年7月の時点で、カルフォニア南部での山火事発生の危険性を訴えていたことも報じた。イギリスの公共放送BBCは、今月10日、「大規模な山火事は、カルフォニア州での『新しい日常』となる。毎年、あるいは数年おきに起きるようになるだろう」「温暖化によってカルフォニア州は文字通り焼き尽くされている」とのブラウン知事の発言を伝えた。フランスの国際ニュース専門チャンネルフランス24も、今月12日、ブラウン知事にインタビュー、「米国はパリ協定に加わるべきだ」等の発言を紹介した。
◯温暖化で山火事が激化
米国の専門家達も、温暖化と山火事との関係を指摘している。10万人以上の科学者と市民からなる「憂慮する科学者同盟」の分析によれば「米国西部の山火事は1980年代半ばから2000年代にかけて増加しており、ほぼ4倍の頻度で発生し、6倍以上の面積を焼失させ、ほぼ5倍も持続している」という。温暖化により、春と夏の気温が高くなり、雪解けが早くなると、土壌が乾燥し、山火事が発生しやすくなり、かつより激しく長時間燃えるというわけだ。
実際、日本の気象庁ウェブサイトの特集ページ「世界の異常気象」を観ても、カルフォニア州を含む米国南西部は、今年10月と11月に、過去30年間の月平均を大幅に超える異常高温が発生、山火事が発生し易い状況にあったようだ。
◯日本にとっても「対岸の火事」ではない
温暖化による被害は、最早、未来のことではなく、正に今、人類が直面している危機である。先月、米国海洋大気庁の諮問委員会がまとめた「全米気候評価報告書」でも、温暖化の進行が、米国南西部での干ばつや山火事を増加させたと結論づけていた。今回のカルフォニア州での大規模山火事は、地球温暖化自体を認めず、対策を取ろうとしないトランプ政権に対する、米国市民やメディアによる批判を、ますます強めることになるだろう。
問題はトランプ政権だけではない。温室効果ガスCO2を大量に排出し、地球温暖化の主要因とされる石炭火力発電を推進している安倍政権は、既に、国際社会から厳しい視線にさらされている。カルフォニア州の大規模山火事は、日本にとっても「対岸の火事」ではないのだ。米国も、日本も、温暖化対策にもっと真剣に取り組むべきだろう。
(了)