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大坂なおみ、全豪テニス初戦突破で好スタート! ディフェンディングチャンピオンとして得た教訓とは?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
全豪1回戦での勝利を決めた後に、ネットで握手をする大坂なおみ(写真/神 仁司)

 テニス4大メジャーであるグランドスラムの初戦・オーストラリアンオープンの1回戦で、第3シードの大坂なおみ(WTAランキング4位、1月20日づけ)が、マリエ・ボズコバ(59位・チェコ)を、6-2、6-4で破り、5年連続で2回戦進出を決めた。

「初めて対戦する選手とはタフになるものです」と語った大坂に対して、ボズコバは、大坂のバックサイドにボールを集めながら打ち合いを展開し、何も失うものはないかのように積極的にボールを打っていった。だが、大坂は落ち着いて対処し、ひざを深く曲げながらスピードのあるバックハンドストロークを深く返球して、打ち合いの中でチャンスを見いだしてウィナーを放った。

 第1セットでは、大坂が第4ゲームから5ゲームを連取してセットを先取。第2セットでは、大坂が第6ゲームで先にサービスブレークを許したが、続く第7ゲームでブレークバック。さらに第9ゲームも再びブレークして勝負を決めた。

 結局、大坂は、サービスエース7本、フォアとバックのウィナーがそれぞれ9本、合計29本のウィナーを決めて、地力に勝る大坂がボズコバに格の違いを見せつけた。

 今回大坂は、日本人選手としては初めてオーストラリアンオープンのディフェンディングチャンピオンとしてコートに立った。グランドスラムのディフェンディングチャンピオンとしてプレーをするのは2回目だが、昨年のUSオープンでは3回戦で負けてタイトルを守れなかった。だが、その敗戦を含めて、16回目のグランドスラム挑戦を迎える中で、大坂が得た教訓がある。

「1回戦では、パーフェクトなプレーをしなくても良いことを理解しました。(1回戦から徐々に)レベルアップしていけばいいし、自分自身をいい状態にしていけばいい。それが、自分が学んだ最も大きなことです」

 大坂の1回戦は、大会初日にオーストラリアンオープンのセンターコートにあたるロッド・レーバーアリーナのオープニングマッチに組まれたが、観客席の日本人ファンからは大坂コールがあったり、温かい応援が送られたりして、コート上の大坂からは笑みがこぼれる場面も見られた。

「今日はすごく楽しかったです。ここ(メルボルン)の観客は、他のどの大会とも違うわね。ここ(ロッド・レーバーアリーナ)でプレーするのが本当に大好きなの。でも、昨年の1回戦でも笑顔はあったと思うわ。1回戦では神経質になり過ぎないようにして、笑顔になるのが自分流です」

 オーストラリアンオープン2連覇に向けて、まずは好スタートをきった大坂は、2回戦で、ジェン・サイサイ(41位、中国)と対戦する。サイサイとの対戦成績は、大坂の1勝1敗で、初対決は大坂が17歳の時で、2015年ITF岐阜大会の決勝で戦い、大坂が第1セットを奪ったものの、優勝への思いがプレッシャーになってミスを連発してフルセットの末逆転負けを喫したのだった。

「彼女(サイサイ)は、とてもトリッキーな選手です。過去に対戦した時に、彼女は、スライスやドロップショットを使った。たぶん私はいろんなことを実行していかないといけない。プレーの安定感を保たないといけないし、ポジティブな姿勢を保たないといけない。フラストレーションを感じる時間がきっとあるだろうから」

 ジェンとの初対決から約5年が経過して、22歳になった大坂は、グランドスラム優勝者になり、世界1位にもなった。相手ショットへの予測が良く粘り強いジェンと再び対戦することによって、この5年の月日の中で、大坂が成長した証しをわれわれは見ることができるだろう。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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