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日本サッカーに依然として蔓延る真ん中好きのパスワーク

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 先日、埼玉スタジアムでバルセロナと対戦したチェルシー。試合には勝利を収めたが、かつてに比べ顔ぶれが地味になった印象だ。チャンピオンズリーグ(CL)優勝は、バルセロナには期待できてもチェルシーにはできそうもない。

 しかしそうした指摘は、CLに毎シーズン、ほんのわずかな人数しか送り込めていない日本人には分不相応と突っ込まれれば、黙るしかなくなる。

 その数日前、川崎フロンターレと対戦した一戦も、結果こそ1-0で川崎の勝利に終わったが、内容はチェルシーに大きく劣った。

 考えさせられる試合とはこのことだった。終了間際にレアンドロ・ダミアンのヘディングで勝利を収めると「さすが川崎、押されていても結果を出すところが凄い」と持ち上げる声が湧いたが、これは身贔屓であり、結果至上主義であり、スタンダードから外れたサッカー的ではない見解だ。

 川崎対チェルシーを見ながら、いくつかの試合が頭を過ぎった。直近では、その5日前に行われたJリーグ、FC東京対川崎だ。3-0で川崎が大勝した試合だが、それはチェルシー戦をひっくり返したような一戦だった。

 この2つの試合に通底する、カギとなる要素を一言でいえば、ボールを奪われる場所になる。川崎戦のFC東京と、チェルシー戦の川崎は、どこでボールを奪われることが多かったか。ピッチの中央付近である。相手に危ない場面を作られた原因だ。チェルシー戦の川崎は、FC東京戦の勝因を把握せずに戦っていたという印象だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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