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レトロかわいさで話題!新宿中村屋のデイリー菓子「ご褒美喫茶」シリーズ

笹木理恵フードライター
思わず買い揃えたくなる「ご褒美喫茶」シリーズ ※筆者撮影

インドカリーや中華まん、洋風和菓子「うすあわせ」などで知られる新宿中村屋が、2021年9月1日より、新たに洋焼き菓子のブランド「ご褒美喫茶」を発売。全国のスーパーなどで購入でき、レトロかわいいパッケージと、1個100円程度のお手軽感、常温で60日間という日持ちのよさが魅力です。新シリーズ発売に至った経緯と、商品のこだわりを取材しました。

30~40代向けのデイリー菓子で、新たな顧客獲得を目指す

5品を揃える「ご褒美喫茶」シリーズ ※画像提供/新宿中村屋
5品を揃える「ご褒美喫茶」シリーズ ※画像提供/新宿中村屋

1901年(明治34)に創業し、現在はインドカリーや中華まん、和洋菓子など様々な顔をもつ新宿中村屋。居抜きのパン屋から商売を始め、1909(明治42)年より和菓子の製造・販売を、1920(大正9)年より洋菓子の製造・販売を開始。戦後は贈答菓子をメインに成長してきましたが、近年はギフト市場の縮小により、自家用のデイリーなお菓子を強化してきた経緯があります。

スーパーでも購入できる、新宿中村屋の「厚切りカステラ」と「どら焼」 ※筆者撮影
スーパーでも購入できる、新宿中村屋の「厚切りカステラ」と「どら焼」 ※筆者撮影

2016年に発売した日持ちのするどら焼きや、個包装のカステラがその一例で、今回の「ご褒美喫茶」は、それらに次ぐ、新しい柱となる商品を、という思いから開発されたそうです。

「弊社の和菓子は、量販店のパン売り場に併設されている和菓子コーナーや、レジ横の棚などが主な売り場です。主要顧客は60代以降の年配層が多く、30~40代の子育て世代を新たに獲得したいという思いもありました」(中村屋 菓子・中華まんマーケティング部 中里さん)。

コンセプトは「手軽で日持ちのする、新しい洋焼菓子シリーズ」

一般的には型に生地を流して作るガトーショコラも、チョコクリームを生地で包んで焼くことでしっとりとした食感に ※筆者撮影
一般的には型に生地を流して作るガトーショコラも、チョコクリームを生地で包んで焼くことでしっとりとした食感に ※筆者撮影

若い世代は和菓子よりも洋菓子の嗜好が高いことから、新シリーズは洋菓子のテイストを強く打ち出した商品と決まり、商品開発が進められました。新宿中村屋というと和菓子のイメージが強いですが、洋菓子製造の歴史も長く、また近年は商業施設などに洋菓子の専門店も展開しています。「ご褒美喫茶」シリーズは、そうしたノウハウを活かして、「洋菓子店で人気の味わいを、手軽で日持ちのする焼き菓子に仕立てた、新しい洋焼菓子シリーズ」として開発されました。生地に中身を包み込んで焼く独自の「包み焼き製法」を採用しているのが特徴で、モンブラン・ガトーショコラ・アップルパイ・チーズケーキ・レーズンガトーの5品をラインナップしています。

本格的な味わいと、レトロかわいいパッケージで若年層に訴求

モンブランは、洋酒の香りをきかせた大人の味わい ※筆者撮影
モンブランは、洋酒の香りをきかせた大人の味わい ※筆者撮影

商品開発でもっともこだわったのは、価格と品質のバランス。手の届きやすい価格帯を死守しながら、本格的な味わいを実現するために、何十回と試作を繰り返したそうです。「量販店で販売するので、お子様からご年配の方まで万人に好まれる味に仕立てる商品が多いのですが、今回は洋酒をきかせたモンブランや、チョコレートのビターな味わいを活かしたガトーショコラなど、ターゲットに合わせた味づくりを意識しました」(中里さん)。

商品のロゴが立体的に立ち上がる外箱を採用し、売り場での訴求力をアップ ※筆者撮影
商品のロゴが立体的に立ち上がる外箱を採用し、売り場での訴求力をアップ ※筆者撮影

さらに、ターゲット層を意識して、パッケージも従来の商品から大胆に変更。中身がわかりやすいように透明の袋や、商品の画像を印刷したパッケージが主流のお菓子売り場で、あえて中身を見せずにブランドの世界観を表現したカラフルなパッケージを採用しました。昔ながらの喫茶店でウエイターがケーキを運ぶ様子をイメージしたデザインは、ターゲット層と同じ子育て世代の女性社員が担当したもので、自分たちが買いたくなるデザインに仕立てたそうです。「量販店に卸す際の外箱も、従来は無地の白箱なのですが、今回はカラフルなボックスで立体的に組み立てられるようにして、売り場での訴求力も強化しました」(中里さん)。

SNSでの反応も上々。今後は新作も発売予定

チーズケーキは、冷やして食べてもおいしい ※筆者撮影
チーズケーキは、冷やして食べてもおいしい ※筆者撮影

「ご褒美喫茶」は発売以来、量販店の売り場スタッフや、消費者から好評の声が届いているといいます。「弊社の商品は、和菓子が中心なこともあってこれまでSNSに取り上げられることがあまりなかったので、その点では従来の商品よりも反応が多く寄せられていると感じています」(中里さん)。SNSでは、パッケージがかわいいという声や、電子レンジで温めたり、アイスをのせたりといった食べ方のアレンジも紹介されているそう。「シンプルな味に仕立てているので、色々なアレンジを楽しんでもらえたら嬉しいです。現在は5品の展開ですが、今後は新商品の導入も予定しているほか、コンビニや駅ナカ、通販など様々なチャネルで購入できるようにしていきたいです」(中里さん)。

手頃な価格帯と食べきりサイズが魅力の「ご褒美喫茶」。日常のおやつのほか、ちょっとした差し入れにも重宝しそうです。

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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