首都圏なのにSuicaが使えない!? 蓄電池電車「ACCUM」の走るJR烏山線とはどんな路線か
宇都宮ライトレールが開業し注目を集めている栃木県宇都宮市。そんな宇都宮市近郊の宝積寺駅と烏山駅を結ぶJR烏山線は蓄電池電車「ACCUM」が走る路線として鉄道ファンには有名な路線だ。
筆者は開業初日に宇都宮ライトレールに乗るために宇都宮市を訪れていたことについては、2023年8月28日付記事(宇都宮ライトレール開業初日 15時発の営業「1番列車」はどんな様子だったのか)で触れたとおりだが、この前日、蓄電池電車「ACCUM」に乗車するために烏山線を訪れたので、今回はその時の様子を紹介したい。
首都圏なのにSuicaが使えない!?
烏山線はSuicaなどの交通系ICカードの使用できないので乗車の際には注意が必要だ。烏山線の列車は大半が宇都宮駅まで乗り入れており、烏山線が分岐する宝積寺駅の間までは東北本線を走行するが、宝積寺駅から先の区間はICカードの利用が出来ない区間となっている。万が一、宇都宮駅の改札口をICカードで通過してしまった場合には、烏山線内の駅で下車する場合には宇都宮駅からの運賃を現金精算することになるため、事前に紙のきっぷを購入して乗車することがおすすめだ。
蓄電池電車「ACCUM」はどんな電車!?
蓄電池電車「ACCUM」は、架線のない非電化区間の烏山線でそれまで活躍していたディーゼル車キハ40形の老朽置き換えを目的として2014年3月のダイヤ改正で登場した車両である。なお「ACCUM」の形式名はEV-E301系という。
電化区間である宇都宮―宝積寺間はパンタグラフを上げて架線給電により走行。宝積寺駅ではパンタグラフを降ろして、烏山駅までの間を蓄電池からの給電により走行し、集電の烏山駅では専用の充電設備により急速充電が行われ、再び宇都宮方面へと折り返し運転を行っている。
宇都宮駅から「ACCUM」に乗車!
筆者が乗車したのは、宇都宮駅を14時34分に発車する烏山行の普通列車。烏山駅までの32.1kmを48分で結ぶ。2023年は烏山線開業100周年ということで、「ACCUM」には10月22日まで「烏山線開業100周年」を記念したヘッドマークを付けて運行されている。車内はオールロングシート仕様であるが、座席がほぼ埋まる程度の乗車があり、平日日中にもかかわらず利用者は多い印象だ。
列車は、東北本線と烏山線の分岐駅である宝積寺駅を発車すると、東京方面からやってきた東北本線の下り貨物列車に追い抜かれながら東北本線から分岐。右方向に曲がりながら下り勾配の切り通しの中を進んでいく。
切り通しを抜けると車窓がひらけ、線路の両脇には水田が広がった。宝積寺駅から水田地帯まではそれなりの高低差があるようで、宝積寺駅は丘の上に立地していることを感じさせた。
烏山線内の最高速度は65km/hに抑えられていることから、列車の速度は一気に落ちのどかな風景の中をゆっくりと烏山に向けて進んでいく。烏山線は全区間が単線路線であるが、途中の大金駅のみ列車交換が可能となっていた。大金駅到着の際に烏山方面からの列車交換を期待したが、この時間帯は交換列車はなく大金駅をそのまま発車した。
烏山駅到着は15時22分。列車は駅に到着すると充電ゾーンですぐにパンタグラフを上げて急速充電を開始した。烏山駅の折り返し発車時刻は15時38分で充電時間はわずか16分である。烏山駅の充電ゾーンはちょうど車両1両分にあたる箇所のみに架線が張られ、車止めの先には給電のための変電設備が設置されていた。
(了)