宇都宮ライトレール開業初日 15時発の営業「1番列車」はどんな様子だったのか
2023年8月26日、宇都宮ライトレールが開業した。開業区間は宇都宮駅東口―芳賀・高根沢工業団地間の14.6km。日本国内では75年ぶりとなる路面電車軌道の新規開業ということもあり、大きな注目を集めている。
この日は11時過ぎに発車式を行った後、関係者を乗せた祝賀列車が11時40分頃に芳賀・高根沢工業団地に向けて出発。営業列車は15時が始発となった。営業列車は17時まで人数制限が行われ、乗車の際に必要になる整理券は1200枚が朝8時から配布されたが、早朝6時頃にはすでに整理券を求める人で長蛇の列ができており、この日用意された整理券は配布開始と同時になくなったという。
6時過ぎにはすでに170名の列
筆者も8月26日、早朝6時過ぎに営業1番列車の整理券を求めて宇都宮駅東口の待機場所に向かった。待機場所に到着すると、すでにかなりの人が列をなしている状態で、係の人に人数を聞いたところ、この段階で170名という答えだった。
営業列車の整理券の待機列は、宇都宮駅東口の再開発ビル・ライトキューブ宇都宮の1階通路に設けられていたが、これとは別に宇都宮駅と直結する2階の歩道には発車式の一般観覧エリアの整理券(300枚)の待機列も設けられており、来訪者は営業列車の整理券を取るか、発車式の整理券を取るかの2択を迫られる形となった。
地元紙の下野新聞では、営業1番列車を狙って前日の20時にはすでに徹夜組が並び始めていたことが報じられていたが、6時台には宇都宮宿泊組や宇都宮近郊居住者が集まり始め、東京方面からの新幹線と在来線の始発列車が到着する6時50分頃を過ぎると、待機列に並ぶ人の数がどんどん膨れ上がっていった。
そして、いよいよ8時になり整理券の配布が始まった。筆者が受け取ることができた整理券には、割り当てとなる列車の時刻が記載されており、15時5分発の第2便に乗車できることとなった。整理券と一緒に受け取った案内には「指定時間の30分前に、再度、整理券配布場所にお並び下さい」と記載されていた。
11時から華々しい発車式やパレード
11時からは宇都宮市長などの関係者が出席した発車式が執り行われ、11時40分ごろに関係者を乗せた祝賀列車が発車。一般観覧エリア外からは、遠巻きにしかその様子を見ることはできなかったが、祝賀列車は人が歩くほどの速度で東宿郷停留所までの200mをパレードとともに約30分かけて走行。宇都宮ライトレールの存在を市民に印象付けることになったであろう。
宇都宮ライトレールにいよいよ乗車
筆者は14時15分頃に、改めて指定の待機場所に向かったところ、15時5分発の待機列にはすでに多くの乗客が並び始めていた。また、同時に下野新聞の号外が配り始められる。
14時45分頃になり、係の人の案内でようやくホームへと入ることができた。すでに1番ホームには営業1番列車が入線済みで、15時には大勢の人に見守られる中、発車していく1番列車を間近で見送ることができた。そして、しばらくすると15時5分発の営業2番列車が1番ホームに入線。電光掲示板には2番ホームに発車の表示が出ていたことから、乗客はややパニック状態となり、我先にと入線した電車のドアに駆け寄る者も現われた。
筆者は、前面展望のできる運転席後部に乗ることができ、同じポジションを押さえることができたほかの乗客たちも、運賃表示器の下部に吸盤でスマホを貼り付けて全面展望動画を撮影するなど、それぞれ思い思いの方法で初乗車を楽しんでいた様子だった。
また、宇都宮ライトレールは急こう配が多いことも大きな特徴で、最大こう配は60パーミルとなる。
通常は、宇都宮駅東口―芳賀・高根沢工業団地間14.6kmの所要時間は48分であるが、日は特別ダイヤが組まれ、1時間以上かけて全線を走破。16時10分頃に終点に到着した。
終点では炎天下の中、折り返し乗車の長蛇の列
終点に到着後、乗客はすみやかに電車を降ろされて、折り返し乗車の待機列に案内をされた。折り返し乗車については整理券の配布はされていなかった。中には、炎天下の中で再度、乗車待ちをすることを嫌いバスで宇都宮駅まで戻った人たちも一定数いたものようである。
筆者は、そのまま折り返し乗車の待機列に並び、16時30分頃に宇都宮駅東口行の電車に乗車でき、宇都宮駅へと戻ることが出来たのは18時近くとなっていた。
なお、宇都宮駅東口から乗車整理券なしでライトレールに乗車できるようになったのは17時以降となった。
(了)