黒糖香る瑞々しいあっさり系「やまうち」さんのでっち羊かんは霊峰の伏流水で仕込まれ喉越し軽やか
暑い日に冷房が効いた部屋でキムチ鍋を食べ、寒い日には暖房と炬燵でぬくぬくしながらアイスクリームを食べる。そんな「敢えて」の贅沢に興じるという方もいらっしゃるという今日この頃。かくいう私も、冬のアイスクリームはひと際美味しく感じるような気がします。(和菓子も好きですが、アイスも大好きです。)
福井県では毎年冬になると、「水ようかん」を食べるという風習を耳にしたことがありませんか?一枚流し、と申しまして、平らな容器に水ようかんを流しいれて固めるのですが、厚みは1.5cm~2.5cm程と、一般的な棹物の練り羊羹に比べると非常にうっすらとしているのです。かつては各家庭で作っていましたが和菓子屋さんや他のお店の技術を取り入れより上質なものへと進化を遂げ、今では食べ比べ会などが催されるほど実に多彩。
今回はその中のひとつ、福井県大野市の和菓子屋「奥越菓庵 やまうち」さんの「でっち羊かん」をご紹介。
水ようかんではなくでっち羊かんというのは、福井県の中でも水ようかんというところと、でっち羊かんというところに分かれており、やまうちさんがお店を構える大野市はでっち羊かんと呼ぶそうです。
日本三大霊峰のひとつ、白山の伏流水で仕込まれたでっち羊ようかんは、心なしか淡い色合い。あらかじめ八等分に切り分けられているのも嬉しいですね!同封されている木べらで掬い、そのままつるんと口の中へ。
名水を使用しているということもあるのでしょうか、口当たりは非常にまろやかで、まず初めに寒天の良いところだけを切り取った味わいがスッと飛び込んできます。仄かな弾力を舌先で感じると、弾けるように黒糖の華やかな香りと甘味が思い切り広がります!白双糖もあわせているとのことですが、圧倒的に黒糖の風味やコクで口の中が満たされていきます。こんなに黒糖の香りが濃厚なのに甘ったるいという感覚は無く、むしろ芳香で口の中が満たされ、そのまま余韻へと引き継がれていくような印象です。
こし餡、といいますか、あんことしての味わいよりも、あっさりしているため黒糖の印象のほうが何倍も強か。それもまた個性として、選ぶ基準のひとつとなり楽しさも倍増です。
<奥越菓庵 やまうち>
福井県大野市日吉町7-21
0779-66-2730
7時30分~19時
定休日 水曜