細か過ぎる保育園解説「保育園のお散歩」 現役保育士が贈るムダ知識
現役保育士&幼保英検1級です。
保育園では、お友達と先生とで近隣の公園などにお散歩に出かけることがあります。
家庭での散歩と違い大人数でのお散歩。
保育園では一体どのような段取りで行っているのでしょうか。
今回は、現役の保育士がムダ知識を交えながら、保育園でのお散歩について解説します。
歩けない0歳児6人を大移動 どうやって?
歩行がおぼつかない0歳児さんもお散歩は大好きです。
電車や草木など指を指しながら景色を楽しんでいます。
一方、乳児3人について保育士1名というのが現行の保育士配置基準です。
よって、0歳児クラスに6人園児がいる場合は職員数は2人、9人いる場合は3人です。
乳児を外に連れ出すには、決して余裕のある職員数ではないですよね。
0歳児クラスの連絡帳で「今日はお散歩に行きました」と報告したら、保護者の方から「どうやって行くのですか?!」というお返事をいただいたことがあります。
保育園では、このような赤ちゃん大移動をどのように行っているかと言いますと・・・
0歳児クラスのお散歩では、4人乗りベビーカーとお散歩カートが大活躍です。
ベビーカーやお散歩カートの呼び名は保育園によって様々ですが、「散歩車」「散歩カート」と呼ばれることもあります。
1-2歳児クラスで登場 通称「お散歩ロープ」
1歳児クラスの後半から2歳児クラスでのお散歩で登場するのが、通称お散歩ロープです。
ロープの前と後ろを保育士が引っ張り、子どもたちは輪っかの部分に掴まって歩きます。
その際、保育士が口を酸っぱくして園児たちに声をかけることが「決してロープを放さないこと」。
お友達の一人が靴が脱げたなどの場合は、全員でロープを掴んだままで一旦停止します。
2歳児クラス以降はお友達と手つなぎで
2歳児クラスになると段々とロープではなく、お友だちと手を繋いで歩くことが上手になってきます。
ただし、2歳児クラスでは、つなぐ相手は2歳児クラスの他のお友達ではなく、必ず年長クラスのお兄さん・お姉さんのみと決めている保育園もあります。
3歳児クラス以降になると、交通ルールを守りながら、お友達と歩幅を合わせて歩くこともお手の物。散歩で歩く距離もぐっと増えます。
今まで行ったことのない公園に行ったり、秋には寄り道してどんぐりや松ぼっくりを拾って帰るという楽しみも増えますね。
年中・年長クラスになると、下のクラスの子を優しくリードしてあげる姿が見られ、頼もしいです。
保育園のお散歩は誰が引率する?
保育士の配置基準に沿うと、3歳児クラス以上になると担任の先生は1人ということが多いです。
お散歩などの園外活動ですら、1人の先生がクラス全員を引率するのでしょうか?
保育園にもよりますが、筆者の勤務園では園児が年長児であっても、たとえ1人しかいなくても、お散歩には職員2名以上ついて行くことになっています。
お散歩中に怪我をしてしまう可能性はゼロではありません。
複数の職員がいれば、1人は怪我した子供への対応や園への連絡、もう一人は他の園児を見るといった分担が可能になりますからね。
散歩の際の職員配置は、その保育園の安全管理の姿勢を映す鏡でもあります。入園前であれば入園説明会などで確認してほしいポイントのひとつです。
お散歩のルートの決め方
保育園で出かける散歩のコースは大体決まっています。
最終目的地は公園などになる場合が多いでしょうか。
1歳児クラスなら◯◯公園か△△公園、2歳児クラスなら◯◯公園か△△公園の他、□□公園や◎◎公園も大丈夫、といった具合です。
どの公園を目的地にするかは、その日の登園園児数や天候、引率できる職員の人数などによって変わります。
公園に向かうルートもほぼ決まっていますが、保育園に帰園する前に少し時間があるので駅まで行って電車を見てから帰ろうなど、少々の寄り道をすることもあります。
いずれの散歩コースの場合でも、散歩に行く前に散歩計画書に行き先や帰園時間、園児数などを記入するなどの方法で、保育園内の他の職員に散歩の詳細を通知する保育園が多いでしょう。
散歩への引率職員数と同様、コース設定の方法も安全対策への意識がにじみ出る部分です。
保育園選びでの良い判断基準のひとつになります。
保育園のお散歩で持参している物
保育園のお散歩では、園児や保育士はどのような物品を持参しているのでしょうか。例えば、筆者の勤務園では次のとおりです。
園児が身につける物
- 帽子
- 水筒(水筒が自分で持てる年齢から)
- ジャンパー(冬)
- 靴下と靴
保育士が持参する物
- 移動に必要な物(お散歩カートやベビーカー、散歩ロープなど)
- リュック
- マグ(水筒を自分で持てない年齢児用。全員分をリュックに入れて持参)
- ティッシュペーパー(鼻水・鼻血などの対処用)
- バスタオル(雨の翌日など遊具が濡れている際に拭くため)
- スマートフォン(園との緊急連絡用。番号は散歩計画書などに記入済み)
- カメラ(保護者向け写真販売のため散歩中の様子を撮影する)
- ビブス(保育士が蛍光色のビブスを着用。安全確保のため)
- シャボン玉など(必要に応じて。遊具が何も無い公園などで出すことがある)
ちなみに、4月や5月でも日差しが強い日があり、保育園で日焼け止めを塗り直して欲しいと思う方もいるでしょう。
残念ながら、法律上、基本的に保育士は園児への塗り薬の塗布はできないため日焼け止めの塗り直しは難しいです。実際、日焼け止めを塗っている時間もないですが・・
日焼けが気になる場合は、朝登園前に持続効果の高い日焼け止めを十分に塗っておくことをおすすめします。
※病院で処方されたものであれば可(投薬のルールは保育園により異なる)
まとめ
現役の保育士がムダ知識を交えながら、保育園でのお散歩について解説してきました。
保育園の散歩と家庭での散歩とで一番大きく異なるのが、徒歩中はいかなる時もお友達(またはロープ)と手をつなぎ、絶対に離さないように指導する部分だと思います。
手を繋ぐことを徹底することで、少ない職員数で大勢の園児を散歩することができるのですね。
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