静かだった渋谷ハロウィーンと新型コロナの心理学
<感染予防は必要。今年の静かな渋谷に一安心。でも、心のエネルギーを消さないように>
■ハロウィーンの心理
近年、ハロウィーンは大人気です。子供たちの中には、クリスマスよりもハロウィーンを楽しみにしている子もいるほどです。様々な海外のお祭りを取り入れてきた日本。海外行事を、日本式にして取り入れてきた日本。ハロウィーンも、仕掛け人たちの工夫と努力で、ここまで広がりました。
「仮装」(変身:メタモルフォーゼ)は、魅力的です。子供たちは、様々ながっこ遊びをします。昭和の子供なら、風呂敷を首に巻いて、スーパーマンになっていました。
大人も、サーカーの応援などで、いつもと違う格好をし、顔に絵を描き、いつもと全く違う雰囲気に変身して、楽しむ人もいます。
いつもはラフな格好をしている人が、きちんとした格好で、おしゃれなレストランに行くのも、一種の変身です。服を変え、メイクを変え、環境を変えることで、人は変身します。
それは、見た目だけではなく、心の変身でもあります。いつもと違う開放感や、達成感も味わえます。人は、変わることに、憧れるのです。
■渋谷のハロウィーン
ところが、行きすぎる人々が近年現れていました。その人たちが渋谷に集まりました。
各地の伝統的な祭りも、裸祭りとか、ケンカ祭りとか、日常的には許されないことをすることもあります。ただ、この祭りに参加している人は、地元の人たちです。地元を愛し、地元の祭りを愛します。
そして、長い伝統と現在の常識のバランスをとりながら、どこまでなら許されるかを判断します。祭りを取り仕切る人も、それぞれの地域の祭りに存在しています。
ところが、ハロウィーンには、まだそんな歴史がありません。渋谷に集まり、大騒ぎを知る人たちのほとんどは、渋谷の外から来る人たちでしょう。そんな人たちがハメを外せば、混乱も生まれるでしょう。
■今年の渋谷ハロウィーンと新型コロナ
ところが、今年の渋谷ハロウィーン。今のところ、静かなようです。
<コロナ禍で厳戒も、滑り出しは仮装まばら 渋谷ハロウィーン>
人と全く違う格好をして外を歩く。普通はできません。それができる雰囲気が必要です。計画され統制されたパレードや行列ならできるでしょう。
でも、個人で行うのは、かなりハードルが高い行為です。
たとえば、ディズニーランドの中ならできます。ディズニーランドに行くと、ミッキーの大きな耳をつけた人などが、たくさん歩いています。
そんなお土産をたくさん持って、みなさん家に帰るのですが、ディズニランドの外で、大きな耳をつけて歩いている人は、ほとんど見ません。ディズニーランドの中でこそできる仮装です。
さて、例年の渋谷には、仮装して良い雰囲気があったのでしょう。さらに困ったことに多少の違法行為も許されると感じさせてまう雰囲気もあったのでしょう。
それが、新型コロナの感染拡大です。世の中の雰囲気がすっかり変わりました。法的な規制などはなくても、日本人は空気を読み、マスクをして県外移動を自粛しました。
その自粛の雰囲気は、今日ハロウィーンの渋谷にも届きました。コロナ自粛の力は、何とも凄まじいものです。
コロナ自粛の雰囲気は、一部の人だけのものではありませんでした。世の中のあらゆる場所に広がりました。例年なら、行き過ぎを制限するのが非常に困難な渋谷のハロウィーンの勢いを消してしまうほどに。
迷惑行為は、もちろんやめてほしいと思います。今年渋谷のハロウィーンを自粛した人々は、賢明な選択をしたと思います。今日のこの結果は、良いことです。
ただ少し心配もあります。
新型コロナは、私たちの心と活動の勢いをどこまで止めてしまったのでしょう。
Go To キャンペーンで、一部の人の動きは、再開しています。けれども、まだまだ元気を取り戻していない部分は多いでしょう。
感染拡大は予防しなければなりません。油断は禁物です。そして同時に、感染予防をしながら、私達の心の火を消さないようにしなければなりません。
これからの人々の健康的で活発な活動、若者たちの爆発するようなエネルギーを、ぜひ消さないようにしていきたいと思います。