安倍元首相の銃撃事件から2年 報道から見えてくる山上徹也被告の心の動きと今後の裁判 #専門家のまとめ
7月8日で安倍晋三元首相の銃撃事件から2年になります。山上徹也被告は旧統一教会の信者である母親が多額の献金をしたために家庭が崩壊し、その恨みから犯行に及んだとされています。彼の行為は決して許されるものではありませんが、くしくもこの事件がきっかけとなり、旧統一教会による甚大な被害が明らかになりました。昨年10月13日、文科省は教団の解散命令請求の申し立てを行っています。報道を通じての山上被告の言葉からみえる心の動き、今後の裁判の行方、現在の旧統一教会問題を考えます。
ココがポイント
▼4回目の公判前整理手続きに山上被告も出席して真剣な様子で聞き入っています。初公判は来年以降の可能性が高いとのことです。
・安倍元首相銃撃 被告が公判前整理手続き 弁護団に「興味深い」(毎日新聞)
▼山上被告は事件を引き起こしたことが「2世にとって良かったか悪かったかわからない」との言葉は、偽らざる気持ちだと思います。
・安倍元首相銃撃 山上被告「現在のような状況になると思わず」(NHK)
▼山上被告の完全責任能力を認めた鑑定結果が出るなか、弁護側は精神鑑定を争わず、無罪を積極的に主張しないとの見込みです。
・山上被告に「完全責任能力あり」、精神状態は争わず 安倍元首相銃撃(産経新聞)
▼連日、報道される旧統一教会問題に「解決の困難さを感じる」と山上被告は話し、真剣にこの問題を見ていることがうかがえます。
・山上徹也被告「事件について考えない日はない」弁護団が接見時の会話明かす 旧統一教会めぐる報道には「問題解決の困難さを感じます」安倍元総理銃撃(ABCテレビ)
エキスパートの補足・見解
私自身も旧統一教会の元信者であり、その目線で被害者や宗教2世の被害実態の取材をしてきました。教団側が真摯に被害救済に向き合わないために、被害回復がなされておらず、山上被告と同じように問題解決の難しさを感じています。
2世のなかには信仰が全くないにもかかわらず、親から信仰の強制などの宗教的虐待を受けて、成人になってもその影響を受け続けて苦しんでいる方が多くいます。山上被告の言葉には、自らの生い立ちを重ね合わせての発言が多くみられます。公判前整理手続きにも積極的に臨み、殺人という犯した罪に対して真剣に向き合おうとする姿勢を感じますが、一方の旧統一教会の側は自らに批判的な人たちに対して、敵対的姿勢で抗おうとするばかりです。教団には引き起こした被害に対して、真剣に向き合う姿勢が求められます。