6回が終わるまではノーヒッターを継続していたが、7回に10失点
4月29日、ランス・リン(シカゴ・ホワイトソックス)は、ノーヒッターまで9アウトに近づいた。タンパベイ・レイズの延べ19人に対して投げ、2人目のワンダー・フランコを四球で出塁させた以外は、18人ともアウトにした。
けれども、リンは敗戦投手となった。7回表、先頭打者のフランコにホームランを打たれ、そこから、三振、シングル・ヒット、二塁打(と自身の悪送球)、四球により、1死一、三塁となったところで降板。この時点で、ホワイトソックスは3対2とリードしていた――リンには勝利投手の可能性もあった――が、リリーフ投手が2人続けて打ち込まれ、ホワイトソックスはこのイニングに10点を取られた。その後も点差を広げられ、3対12で敗れた。
イライアス・スポーツ・ビューローによると、1961年以降の「エクスパンション・エラ」において、試合から6イニング以上を無安打に封じながら、一転して1イニングに10失点以上は、他に1度きり。2021年9月11日のダブルヘッダー2試合目に敗れた、ボルティモア・オリオールズしかなかったという。7回表を迎えた時点で被安打ゼロ、与四球2だったキーガン・エイキンが、7回表の先頭打者にシングル・ヒットを打たれ、そこから、エイキンとリリーフ投手2人は、イニングを終わらせるまでに11点を取られた。相手は、トロント・ブルージェイズだ。2020年と2021年のダブルヘッダーは1試合7イニングだったので、非公式のノーヒッターまで3アウトに迫っていた。
3年未満のスパン――実質的には2年未満のスパン――に2度という見方もできなくはないが、60年以上のスパンに2度のほうが妥当な気がする。今後、こうした展開の試合が増えていくとは考えにくい。
リンの先発登板は、通算291試合目。完封は2度記録しているが、6イニングを投げ終えた時点でノーヒッターを継続していたことは、これまでなかった。ノーヒッターの可能性が最も高まった試合が、思わぬ結果になったということだ。
なお、試合が始まる前の時点で、ホワイトソックスのブルペン防御率は5点台後半。30チームのなかで、オークランド・アスレティックスに次いで高かった。リンに続き、7回表に登板した2人、ともに0.1イニングで3失点(自責点3)のアーロン・バマーとジミー・ランバートも、それまでの防御率は5.63と4.97。低くはなかった。とはいえ、リンの投球数は100を超えていた。交代はやむを得ないところだろう。
この日の黒星により、ホワイトソックスの連敗は10となった。二桁の連敗を記録するのは、2013年7月26日~8月4日の10連敗以来だ。