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初の真夏日 5月は気温高い見通し

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
5月2日正午、晴れ渡った日本列島。中央アルプスの残雪が見える(ウェザーマップ)

 4月の低温から一転、5月は全国的に気温が高くなる見通し。日本の東海上で高気圧が強く、例年以上に暖かい空気に覆われるやすいという。年々、早まる暑さ、熱中症に備えを。

昨年より10日遅い初真夏日

 日に日に、緑が濃くなる日本列島。2日(土)は九州から東北南部にかけての広い範囲でよく晴れ、午前中から気温が高くなりました。

 福島県浪江町では午前11時過ぎに気温が30度を超え、沖縄を除く全国で初めての真夏日になりました。全国初の真夏日は昨年と比べ10日遅いです。

 先月は全国的に気温が低く、西日本や沖縄では4月として、9年ぶりの寒さでした。すべての地域で平均気温が平年より低くなるのは2018年2月以来、26か月ぶりのことです。

【4月中旬】上空約1,500メートル付近の気温を平年と比べた図。寒色は気温が平年より低く、暖色は平年より高い。図の中央に日本列島がある。(気象庁ホームページより)
【4月中旬】上空約1,500メートル付近の気温を平年と比べた図。寒色は気温が平年より低く、暖色は平年より高い。図の中央に日本列島がある。(気象庁ホームページより)

 原因は日本列島に流れ込んだ強い寒気です。3月下旬、これまで静かだった成層圏(上空約23キロ:30hPa)で、突如、気温が上昇しました。これを専門的な言葉で「成層圏の突然昇温」と言います。これにより、北極の極渦が分裂し、北半球を取り巻く偏西風が影響を受けました。日本列島に寒気が流れ込みやすい大気の流れとなったのです。

夏はより長く

 これから9月まで、長い長い暑さが続きます。こちらは2019年5月から9月まで、毎日の全国の夏日・真夏日・猛暑日の地点数をグラフにしたものです。日最高気温が25度を超えると夏日と言い、夏日の地点数には30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日の数が含まれる場合があります。

【全国】夏日・真夏日・猛暑日の地点数(2019年5月から9月まで)、著者作成
【全国】夏日・真夏日・猛暑日の地点数(2019年5月から9月まで)、著者作成

 5月から7月中旬までは全体のほとんどを夏日(黄)が占めていますが、梅雨が明けると、真夏日(赤)の割合が急に高くなり、ピーク時(緑破線)には9割が真夏日以上です。そして、猛暑日(紫)の割合も2割を超えます。近年は暑さの始まりが早く、終わりが遅くなる傾向がはっきりしています。冬はより短く、夏はより長くなり、四季にゆがみが生じているようにも感じています。

無理なく、暑さに慣れる

 今後、日を追うごとに暑くなるのでしょうか?

こちらは最新の1か月予報による、5月の見通しです。地上天気図は日本の東で気圧が高く、大陸で気圧が低い=東高西低の夏型を予想しています。東高西低は冬におなじみの西高東低の逆で、夏を代表する気圧配置です。なぜか、天気予報ではあまり使われませんが。

地上気圧予測図(2020年5月2日~5月29日)、気象庁ホームページより
地上気圧予測図(2020年5月2日~5月29日)、気象庁ホームページより
850hPa気温予測図(2020年5月2日~5月29日)、気象庁ホームページより
850hPa気温予測図(2020年5月2日~5月29日)、気象庁ホームページより

 こうなると高気圧の縁に沿って、暖かい空気が流れ込みやすいため、全国的に気温が高くなります。上空約1,500メートルの気温予測図でも日本列島全体が非常に暖かい空気に覆われることを示しています。

 気温が高くなるとは言え、本格的な暑さはもう少し先です。今のうちに、少しずつ暑さに慣れるようにしたい。

【参考資料】

気象庁:1か月予報(5月2日~6月1日)、2020年4月30日発表

気象庁ホームページ(英語版):Tokyo Climate Center、Stratospheric Circulation

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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