東レPPOで大坂なおみが準優勝! 東京で見せた次代の女王候補のポテンシャル
大坂なおみ(WTAランキング66位、9月19日付け、以下同)が、東レ パン・パシフィックオープンテニス(以下東レPPO)の決勝で、キャロライン・ヴォズニアツキ(28位、デンマーク)に、5-7、3-6で敗れ、WTAツアー初優勝は、残念ながら実現しなかった。
だが、東レPPOの決勝で、日本女子選手が戦うのは、1995年に優勝した伊達公子以来の快挙で、それを18歳でやってのけたのは大いに評価に値する。
WTAツアーの大会は、トップ選手が主に出場するプレミアレベルと、中堅選手が主に出場するインターナショナルレベル、大きく2つのカテゴリーに分けられる。さらに、プレミアレベルでは、プレミアマンダトリー、プレミア5、プレミアという3段階に分けられ、東レPPOは、プレミアに属している。
66位の大坂は、今回の東レPPOのカットオフが56位で(56位以上の選手でないと本戦に入れず、それ以下は予選からプレーしなければならない)、本戦ストレートインができなかったため、ワイルドカード(大会推薦枠)を受けて出場し、そのチャンスを活かして、自身初となるWTAツアー決勝進出を果たしのだ。
東レPPO大会期間中、身長180cmから放たれる大坂得意のビッグサーブは、時速190km台を何度も記録して、対戦相手を圧倒した。さらに、大坂は、もう一つの武器であるフォアハンドストロークだけでなく、バックハンドストロークも好調で、パワフルで重いボールを打ち込んだ。試合をするたびに、強くなっていくようで、想像を超える彼女の成長スピードだった。
さすがに5試合目となった決勝では、右肩に疲れがたまって、トレーナーの処置を受けた大坂だったが、東京での1週間の戦いぶりは見事としか言いようがない。
元世界ナンバーワンのヴォズニアツキも、大坂の才能を認めずにはいられなかった。
「素晴らしいポテンシャルを持っていると思います。とてもいい試合をしますし、とても若く、いいプレーをします。彼女には素晴らしい未来が待っているのでは」
この準優勝によって、ランキングポイント305点を獲得した大坂は、目標であるトップ50入りが確実となり、WTAランキングは47位になる。年初の目標はトップ100入りだったが、1月に初めて出場したテニス4大メジャー第1戦・オーストラリアンオープンでベスト32に進出したことで、トップ50入りに目標を上方修正したのだった。
昨年の10月に18歳になった大坂は、2016年シーズンからは年齢による大会出場制限を受けることなくプレーして、グランドスラム3大会でベスト32、WTAマイアミ大会でベスト32、そして、東レPPO準優勝という大舞台での強さを発揮してきた。
「起きたことを一つひとつかみしめていきたい。これまでの1年は十分満足しています。ただ、私は、何でもちょっとでも良くなりたいと考える人間だと思っています。今回の準優勝は、とても嬉しいことなんですけど、できれば、ここからどうすれば良くなるのか学んで、対処していきたい。来年もしかしたら、この大会で優勝できるかもしれないですし、努力していきたい。今年は、正直とてもハッピーなことがたくさん起きた1年でした」
今までの日本女子テニス選手にはないスケールの大きさを感じさせる大坂は、日本女子テニスの新しい時代をつくる中心人物になっていくだろう。大坂の向上心も実にいい資質だ。そして、順調に成長したならば、世界のトップ10への扉をたたく日が訪れる可能性は高い。
次代の女王候補になり得る力の片鱗を披露してみせた大坂を、有明コロシアムで目撃した7413人のテニスファンはラッキーだった。なぜなら、未来のグランドスラムチャンピオンを見ることができたからだ。