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桂馬の貴公子・三枚堂達也七段(29)朝日杯本戦進出! レジェンド羽生善治九段(52)に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月14日。東京・将棋会館において朝日杯二次予選決勝▲羽生善治九段(52歳)-△三枚堂達也七段(29)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 羽生九段はシードで二次予選から出場。三枚堂七段は一次予選から勝ち上がってきました。

 本日、羽生九段は長谷部浩平五段、三枚堂七段は青嶋未来六段に勝って、本局に臨んでいます。

 対局開始に先立つ振り駒は「歩」が3枚出て、羽生九段が先手と決まりました。

 14時、対局開始。戦型は相掛かりで、羽生九段は早めに飛車先の歩を交換したあと、飛車側の銀を押し上げていく「引き飛車棒銀」と呼ばれる形を選びます。

 三枚堂七段は2022年4月から9月まで、NHK「将棋フォーカス」において「さんちゃんの実は楽しい相掛かり♪」という講座を担当していました。三枚堂七段もまた、得意の戦型です。

 羽生九段は角側の銀も中段に進める独創的な構えを見せます。対して三枚堂七段は自然に自陣を整備したあと、2枚の桂を三段目に進めます。

 56手目、58手目。三枚堂七段は左右の桂を相次いで五段目へと跳ね出していきました。「桂馬の貴公子」と呼ばれる三枚堂七段の面目躍如というところです。三枚堂七段はさらに角を切って羽生陣に攻めかかり、優位に立ちました。

 先ほどの長谷部五段戦では、苦戦をしのいで逆転勝ちを収めた羽生九段。しかし本局の進行は羽生九段といえども、バランスを保つのが難しかったようです。

 69手目、羽生九段はあたりになっている金を引くところで40分の持ち時間を使い切り、あとは一分将棋。対して三枚堂七段は11分を残しています。

 終盤、三枚堂七段は時間を残しているにもかかわらず、ビシビシと指し進めていきます。

 86手目。三枚堂七段は飛と馬で羽生玉に迫ります。適当な受けも難しくなったところで、15時27分、羽生九段は投了。今期朝日杯はここで敗退となりました。

 三枚堂七段は2017年度に続いて、2度目の本戦進出。1回戦では稲葉陽八段と対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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