褒め上手になれる3ステップ 〝既製品•オーダーメイド•オンリーワン〟の話しかけとは?
話しかけのきっかけはポジティブでありたいですね。なぜなら「君はねー、だからだめなんだよ」というネガティブな話しかけでは、相手は耳をふさぎます。人の9割は「褒められて伸びる」と言われています。逆をいえば「叱られて伸びる」人はごくわずかなのです。ですからぜひ心掛けてほしいのが「褒める」こと。とにかく褒める。褒めると相手は耳を向けるようになります。自然と人間関係が良くなり、話しかける自分の心も上げます。それから叱咤なり激励なりすればいいのです。
「褒める話しかけ」を体系的に整理して実践へ移すのが今回のテーマです。
基本は〝褒めの既製服〟
「髪切ったの?似合ってる!」「もう夏だもん」「若々しくなったね」というフレーズが飛び交う初夏に突入しました。「何かいいことあった?」「今日はクールだね!」「素敵な柄のシャツ」。褒めるポイントは「誰もがそうありたい」こと。褒めのポイントをまとめてみましょう。
[服装]似合っている センスがいい 上品である
[容姿]若々しい はつらつとしている 男前 美人
[態度]いつも笑顔である 思いやりがある やさしい
[姿勢]姿勢がいい ポジティブである 自信がある
[印象]清潔感がある ていねいである 大人である
[性格]前向きである めげない 努力家である
[能力]頭脳明晰 集中力がある 段取りが上手い
服も容姿も態度も姿勢も衣装も性格もそして能力は「誰もが褒められてうれしい」ことです。人は老若男女、百人百様ですが、「こうであったらいいな」ということは驚くほど共通しています。たとえていえば、誰でも着れる〝既製服〟です。自分もそう言われたいことを言ってあげるだけで人間関係は円滑になります。
次は一歩進めて「褒めて励ます」シーンです。
褒めのオーダーメイド
たとえばある人が仕事で行き詰まったり、クライアントとの関係で悩んいたり、受験期の子が成績が上がらなくて焦っていたり、といったシーンがあるとしましょう。彼らの気持ちを上げるためにはどうすればいいのでしょうか。
コツは「長所や美点の延長線上で褒める」ことです。
普段「はつらつ」とした社員が営業成績で悩んでいたら「クライアントさんは君からいつも元気を注入されるって言っていたよ」。いつも「ポジティブな」社員なら「断られたところからがスタートラインさ」。長所や美点が仕事へ及ぼす好影響を指摘してあげるといいのです。家庭でも同じです。入試の模試が伸び悩む我が子の長所が「根性がある」ならば、「おまえの持ち前の集中力でゾーンに入れば絶対合格できるさ」と励ましてください。
その人がもっている長所•美点と、仕事や学業での「ありたい姿」を重ねて褒めればいいのです。この褒め方は、寸法を人に合わせて作る〝オーダーメイド服〟のイメージです。
さて、褒めて認めることは、人の人生を左右することさえあります。
究極の褒めことば
学校生活がうまく行かない女子がいました。でも彼女にはダンスや演技への興味がありました。そこで13歳になると、演劇や舞台の専門学校を受験しました。実技試験で演技をすると審査員は可能性を感じました。ダンスも良い動きでした。ところが女子が歌い出すと、審査員は息をのみました。彼女が歌い終わると審査員は言いました。
「もっとあなたの歌を聴かせて!」
このことばが後に世界的名声を得たジャズシンガーを生みました。その人のオンリーワンを認めて褒める、それが究極の褒めことばです。
以上、褒めの三段階のレベルを紹介しました。誰にもあてはまる「褒めの既製品」レベル、その人ならではを褒めて励ます「褒めのオーダーメイド」レベル〟そして人生を決めることば、「褒めのオンリーワン」レベル。最後に今週の話しかけドリルです。
二親等以内の人を褒めよう!
今週の話しかけドリルは「二親等以内の人を褒めよう」。
まずゼロ親等から。配偶者あるいはパートナーを褒めましょう。気心の知れる相手には「褒めの既製品」フレーズをたくさんいうのがいいと思います。いつも軽く褒めるのです。次に一親等、親や子です。たとえばもう年だと訴える親に「まだやりたいことがあったじゃないか」と生きがいを思い出させてあげてください。最後に二親等、孫や兄弟姉妹です。もしもあなたに孫がいるなら、ぜひ突出した才能を見極めて、褒めてあげてください。
なぜ二親等以内の人を褒めるのがいいのでしょうか?それは身の回りの小さな社会から良い環境にしようという私の提案です。身の回りの人を幸せにできない人は、社会を幸せにできるわけがないからです。ことばのデザイナー/りり〜郷の〝話しかけて心をあげる〟コラムは毎週日曜朝に掲載(予定)。話しかけて自分も社会も明るくしよう。