「酒を飲む夫婦・飲まない夫婦・片方だけ飲む夫婦」それぞれのマッチング比率と幸福度の違い
結婚は同類同士?
結婚する二人というものは、性格や趣味嗜好に共通性があると言われる。
趣味が一緒だったりすることもそのひとつだが、同じアーティストのファンであったり、同じ野球チームを応援していることもあるだろう。特に、重要なのは「食の好み」で、これが不一致だと長い結婚生活がうまくいかないことも多いようである。食と関連して「酒を飲む」かどうかもある。
今回は、夫婦のそれぞれの飲酒有無の組み合わせを見てみたい。
要するに、酒飲みは酒飲み同士で結婚し、下戸は下戸同士で結婚しているのか、どちらかが全くお酒を飲まない夫婦もいるのか、いるとすればどれくらいの割合なのかという話である。
既婚男女それぞれ5000人に対し、自分たちの夫婦の飲酒有無の組み合わせ(夫婦とも飲酒・夫だけ飲酒・妻だけ飲酒・夫婦とも飲まない)について調査し、夫の年齢5歳階級別にまとめてみた。
飲酒有無別夫婦の組み合わせ
結果は以下の通りである。
各年齢帯とももっとも多いのは「夫婦ともに飲酒」パターンで、全体の4割以上を占める。次いで、「夫だけ飲酒」パターンが3割弱で、「夫婦ともに飲まない」パターンは全体の2割程度。もっとも少ないのが「妻だけ飲酒」のパターンで1割にも満たない。
つまり、日本の夫婦は、夫が飲酒する夫婦が全体の7割を占め、妻が飲酒する夫婦が5割程度となる。
若者が「酒離れ」しているわけではない
年代別に見ると、若い夫婦になればなるほど「夫婦ともに飲まない」割合が高くなっているように見える。
これは決して全体的に若者が酒を飲まなくなったというわけではない。厚労省の国民健康・栄養調査によれば、「全く酒を飲めない・飲まない」という下戸率は、20代男性で2014年24%、2019年23%、20代女性は2014年36% 2019年36%とほぼ変化はない。多少飲酒量や頻度が減っていて、酒の売上的には減少していたとしても、メディアがいうほど「若者が酒離れ」しているわけではない。
むしろ、2020年からのコロナ禍の外出自粛や飲み会の自粛で「飲酒の場における男女出会いのきっかけ」が減った影響も少なからずあったのではないかと思われる。
とはいえ、20代夫婦も50代夫婦も、4つのパターンの割合に大きな違いはなく、どのパターンが減ったから全体の婚姻数が減ったというものではない。
決して酒を飲むからといって結婚できるわけでもないし、酒が飲めないと縁がないというわけでもない。
「酒のないところに愛はない(エウリピデス)」という言葉もあるが、「酒がなくても愛は生まれる」のだろう。むしろ、酒飲み同士と下戸同士という、いわば同類婚はいつの時代も6-7割を占めており、互いの共通性は重要なのだとわかる。
飲酒組み合わせ別の幸福度
では、この飲酒組み合わせ別に夫婦の幸福度に違いはあるのだろうか?
それぞれのパターンにおける夫婦別の幸福度(100点満点で自己採点)は以下の通りである。
もっとも幸福度が高いのは「夫婦ともに飲酒」夫婦で、しかも夫婦ともに大きな違いはない。逆に、もっとも幸福度が低いのは「妻だけ飲酒」パターンで、特に夫の幸福度が全体で唯一68点と70点台を切っている。「妻だけ酒を飲む」夫婦には一体何が起きているのだろうか。
かといって、下戸の夫がそもそも幸福度を感じにくいわけではなく、「夫婦ともに飲まない」パターンは夫の幸福度はむしろ一番高い(但し、妻との幸福度乖離ももっとも大きいが)。「夫だけ飲酒」パターンは、夫の幸福度は高いが妻との幸福度の乖離は大きい。
酒を飲むか飲まないかだけで夫婦の幸福度が決定されるものではないが、こうして見ると「夫婦ともに飲酒」パターンの夫婦が一番幸福度も高く、夫婦間での幸福感の乖離もないといえる。
少なくとも、夫婦の片方だけが飲むというパターンでは「飲む方が幸福で飲まない方は幸福度が下がる」という傾向は興味深い。
「酒のないところに愛はない」わけでは決してないが「酒が夫婦の潤滑油」の働きをしてくれているのかもしれない。
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