ピッチングだけでなくバッティングでも活躍していた投手が、打席ではないところで「強打」を発揮した結果…
メジャーリーグ3年目の今シーズン、ワスカー・イノーア(アトランタ・ブレーブス)は、ブレイクしかけていた。シーズン最初の救援1登板とそれに続く先発8登板で計44.2イニングを投げ、50三振を奪い、防御率は3.02。先発8登板のうち6試合は、5イニング以上を投げて2失点以下に抑えた。
しかも、イノーアは打撃でも活躍していた。打率.353(17打数6安打)、2本塁打、6打点。2本目のホームランは、グランドスラムだ。二塁打も1本打っている。
だが、ここからしばらくの間、プレーすることはできない。5月16日に4.1イニングで5点を取られたイノーアは、降板後、利き手でダグアウトのベンチを「強打」した。その結果は骨折。復帰までは、少なくとも数ヵ月を要する。ちなみに、この試合は打席に2度立ち、いずれも三振を喫した。
ブライアン・スニッカー監督が「彼が最初じゃないし、最後でもないだろう」と会見で語ったとおり、過去にもこうした怪我は起きている。イノーアは22歳だ。数ヵ月を棒に振っても、キャリアを築いていく時間は、まだたっぷりある。
けれども、今シーズンのブレーブスにとっては、大きな痛手になりかねない。4試合以上に先発登板の6投手中、イノーアの防御率は最も低く、イアン・アンダーソンの3.20を凌ぐ。それだけでなく、他の4人はいずれも防御率5.00以上だ。
2019年にリーグ3位の防御率2.68とブレイクしたマイク・ソロカは、昨年の8月初旬に右のアキレス腱を痛め、その後は故障者リストに入っている。今シーズンが始まる前には、4月下旬から5月上旬の復帰をめざしていたが、4月上旬に肩の違和感を訴え、5月中旬に再びアキレス腱の手術を受けた。最悪の場合、シーズン全休となるかもしれない。
なお、イノーアと同様の例については、前にこちらで書いた。