マウイ島で大雨、ダムの水が溢れ被害広がる 実はハワイは世界一雨が多い
ハワイ・ホノルルから飛行機で約40分の距離にあるマウイ島は、美しい自然の中に高級リゾートの建物が立ち並ぶ観光客に人気の島です。この場所で8日(月)大雨が降り、被害が出ました。
気象局によると、8日(月)朝から午後までの8時間で、335ミリもの大雨が降ったようです。
島の北部に位置する「カウパカルア・ダム」の水が溢れ、洪水が発生しました。当局によると「ダムの決壊」ではなく、水かさが増したとのことです。このダムは1885年に建てられた、マウイ島でも最も古い農業用ダムの一つです。
ダムの下流の地域では、下の動画のように茶色く濁った水が道路を勢いよく流れています。土砂崩れも起きたほか、複数の家屋が損傷、または壊滅したもようです。
多数の住民が学校や高台などへ避難を余儀なくされたほか、観光客はホテルから出ないようにと指示されています。
現在ダムの水位は下がっているものの、10日(水)にかけて雨の恐れがあり、再び水位が上がる可能性も出ている状況です。
ハワイは世界一雨の多い場所
ハワイと言えば、青い空を想像しますが、場所によっては毎日雨が降ります。このため世界でもっとも雨量が多く、雨の日が多い場所として登録されているのもハワイなのです。
その場所とは、ハワイ州北部のカウアイ島にある、標高1,569メートルのワイアレアレ山です。1982年には1年間に16,916ミリという怒涛の大雨が降り、年間降水量の世界記録となっています。
そのうえ1年間で平均350日間も雨が降り、世界一雨日数が多い場所としてギネスブックにも登録されているほどです。
一方で、ワイアレアレ山から数キロ離れた場所では、雨がほとんど降らず、年間降水量はたった250ミリと、その70分の1ほどです。
多雨と少雨を分ける原因
なぜこんなに極端なのでしょう。
ハワイの位置する北緯20度付近は、太平洋高気圧の南側の縁がかかる場所です。高気圧の周りには、時計回りに風が流れているため、ハワイには北東風が吹き続けます。この風を「北東貿易風」といいます。ほとんど毎日北東風なので、南西側に傾いている、何となく気の毒な木をハワイではよく見かけます。
風上に当たる北東側では雨が多く、反対に、風下の南西側では雨が少なくなります。年間の日照時間が3,000時間を超えるワイキキも南西側です。
そのうえで、標高1,800メートル付近には「貿易風逆転層」と呼ばれる、空気が上昇できない層があり、ちょうどその高さの山には雲がとどまり続けるのです。これがハワイの山に世界一の多雨をもたらす理由なのです。
さらに言うと、貿易逆転層の上では、ほぼ毎日晴天が広がります。こうしたことも、ハワイの背の高い山の山頂に世界に名を馳せる数々の天文台がある所以なのです。