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ウン十万円の指輪?いいえ生きたイモムシ系の無料の指輪です#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
つい指輪にしたくなるほど美しいアサギマダラの幼虫。

 日本で一番きれいなイモムシを選ぶイモムシ総選挙を行えば、アサギマダラの幼虫がトップ当選する可能性が高い。その美しさは、つい指に巻き付けて指輪にしたくなるほどで、イモムシ女子の間でも極めて人気が高い(昆虫記者も何度か、飼育中のイモムシを分けてほしいと虫好き女子から頼まれたことがあります。役得ですね)。

 マダラチョウの仲間(タテハチョウ科、マダラチョウ亜科の蝶)の幼虫はどれも、芸術の域に達するほど美しいが、東京近郊でも成虫、幼虫がわりと普通に見られるのはアサギマダラだけ。今年は東京・港区の公園でも、幼虫を見つけた。高尾山周辺にはたくさんいて、幼虫は主にキジョランという常緑の植物を食べている。

指の上を這うアサギマダラの幼虫。美しさと気味悪さが混じった美しさを妖艶という。
指の上を這うアサギマダラの幼虫。美しさと気味悪さが混じった美しさを妖艶という。

 日本最大級の蝶で新聞紙が風に舞っているように見えることから「新聞蝶」とも呼ばれる「オオゴマダラ」、メキシコでの集団越冬が有名なオオカバマダラに近い種類の「カバマダラ」なども、マダラチョウの仲間で、幼虫の美しさは特筆物だが、日本では沖縄方面まで行かないと、これらの蝶を見ることはできない。つまりマダラチョウの仲間のほとんどは、南国の蝶なのだ。

 従って、アサギマダラの幼虫のような南国パラダイス風のイモムシを、都市近郊でも見つけられるというのは、奇跡のような幸せなのである。

 マダラチョウの仲間は、蛹もヒョウタンのような形状で可愛らしい。オオゴマダラの蛹は黄金の蛹、ツマムラサキマダラの蛹はプラチナの蛹の様相だ。

アサギマダラは蛹もなかなか芸術的。
アサギマダラは蛹もなかなか芸術的。

羽化直前のアサギマダラの蛹。生命の神秘を感じる。
羽化直前のアサギマダラの蛹。生命の神秘を感じる。

 これらに比べるとアサギマダラの蛹は、緑色中心で若干地味だが、よくよく見ると銀色の装飾や水玉模様も付いていて、なかなかに芸術的だ。

(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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