井上岳志の世界初挑戦 最後は判定でもKOでもいい!何としても勝つ【後編】
アメリカのヒューストンでWBO世界ウェルター級タイトルマッチが26日(日本時間27日)に行われる。国内では無敵の挑戦者の井上岳志が、無敗のチャンピオン、ハイメ・ムンギアに挑戦する。
前半の対談では、今回の試合への意気込みや調整方法について聞いた。
独占インタビュー!国内無敵の井上岳志がアメリカで世界初挑戦【前編】
後半では、井上が変わったきっかけ、モチベーションコントロール方法、過去から現在にかけて語ってもらった。
自分が変われたきっかけ
Q:今までのボクシングキャリアで(アマチュア、プロ含めて)何か変わったきっかけとかある?
井上:アキベイさん(渡部あきのり)との試合ですね。それまで、練習ではフルフェイス(顔面への負傷を防ぐタイプのヘッドギア)でずっとやっていて、ヘッドギア無しっていうのが、試合をやった回数しかなかったです。
目のけがの事もありフルフェイスでずっと練習していました。ボクシングを休んでた期間もあり、急に試合で全部取る事に恐怖心がありました。
それで、アキベイさんとの試合前にヘッドギアを変えて顔を出すような状態でやったんです。そうしたら、スパーリングと試合の感覚っていうのがそこまで変わらなくなってきました。
Q:顔の部分がガラ空きのヘッドギアだと緊張感あるよね。今もそう?
井上:いや。結局また戻したんです。怪我すると危ないので。
今は顔出す恐怖心が取れました。その時は 1年半ぐらいブランクがあってからのフルフェイスだったので、その感覚のズレがすごくあったんです。動きがおかしくなっていたのですが、アキベイさんとの試合の時に吹っ切れました。
記録することでモチベーションをコントロール
Q:井上はボクシングの練習は好き?色々な選手に話を聞くと、大体みんな練習嫌いって言うんだよね。俺は結構好き派。
井上:自分も練習好きなんですよね。自分が成長してるっていうのが楽しくてしょうがない。毎日どれくらい練習したのかを自分でメモしてます。していないのが本当にストレスなんです。
世界戦が決まった辺りから、良くない食べ物を食べたらチェックしたりとか。
自分の感覚で、A、B、Cに分けて栄養をどれくらい取ったのか記録していました。それをやってるのが楽しいといいますか、落ち着くんです。
それでモチベーション上げられるのであれば、続けるべきだと思ってます。
Q:そうだよね。確かに自分のやり方をみつけることって大事!
今まで一番嬉しかったのは高校時代
Q:ちょっと過去のことなんだけど、今までで一番嬉しかったことは?
井上:高校の国体の1回戦で、福本祥馬に勝ったことです。インターハイの決勝と選抜大会が終わった時点で、戦績が3勝2敗だったんですよ。そこからインターハイに行ったので、ほとんどキャリアもありませんでした。
全国優勝も考えてはいましたが、正直勝てないなっていうのもどこかにありました。だけど、決勝まで行けちゃって。その時は負けたのですが、国体で優勝しました。
Q:なるほどね。その後プロになってからは順調だけど、プロデビューの時引き分けだったんだよね。
井上:あの時はダメダメでした。精神的にも、色々なことがプロじゃなかったですね。
今思うと、どうしようもないやつだなって感じでした。体重調整もそうですし、なめてたつもりはなかったのですが人間的に駄目でした。
Q:プロになってだいぶ成長した?
井上:そうですね。あまり変わってないかなって思ったりもするんですが、知らず知らずのうちに成長しているのだと思います。
Q:そうだよね。特にプロボクシングは、色々な人の助けが必要だよね。だから世界戦まで来るには、人間的に成長しないと難しいよね。
実はジブリ好きの意外な一面
Q:あと、ボクシング以外ではまってる事とか趣味とかあるの?
井上:昔から映画が好きなのと、お風呂に入るのが好きですね。あと、ジブリとディズニーが好きです。ディズニーには毎年必ず行ってると思います。あまり行き過ぎると飽きてしまうので、注意しています。
でも、ジブリのほうがもっと好きですね。普段はアニメは見ないけど、ジブリはもう好き過ぎて...
Q:ある意味すごいね。結構見た目とギャップがある。
判定でもKOでもいいので、何としても勝つ
Q:プロボクサーとしてのモチベーションはどこにある?
井上:やはり海外の大きい舞台で戦って強くなりたい。強い人と戦って勝ったときの喜びは、何ものにも代えがたいです。そして、一番重視してるのは自己成長ですね。
Q:自己成長ね。あれ?ボクシング始めたきっかけは何だっけ。
井上:中学生の時、不良に喧嘩を売られて、そこで殴り合いの喜びを知ってしまったんです。
Q:ちなみに俺は中学3年生の時に不良にボコボコにされて、それでボクシングやろうと思った。
井上は、今やってみたい選手とかいる?
井上:今はムンギアに集中してますね。それ以外に目線をずらすような事はしてられないです。
Q:なるほどね。最後に、試合への意気込みを聞かせてください。
井上:相手のボクシングをさせない。嫌がるようなボクシングをして、フルラウンドで動けるようにかく乱していきます。最後は判定でもKOでもいいので、何としても勝ちたいですね。
Q:頑張ってください。
井上:はい。ありがとうございます。
国内、アジア圏では相手がいないトップボクサーとなった井上だが、今回は海外で初の世界挑戦。しかも、相手は無敗で若く将来を有望されているスター候補だ。この大舞台で勝利をすれば大金星で、井上の名前も一気に売れる。不利な状況だが、ベストを尽くしチャンスを掴んで欲しい。いよいよ明日決戦!頑張れ井上。
試合はDAZNで放送 2019年1月27日(日)9:00〜 ※メインカードは11時以降にゴング予定