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ボクシング界のスターから問題児へ 安保瑠輝也と対戦するライアン・ガルシアとは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:REX/アフロ)

12月31日、さいたまスーパーアリーナでボクシング元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(米国)と、元K-1スーパーライト級王者の安保瑠輝也(MFL team CLUB es)がエキシビションマッチで激突する。

試合は2分8ラウンドで行われ、契約体重は153ポンド(69.4kg)となっている。

ライアン・ガルシアとは

ガルシアはボクシング界を代表する若手ホープだ。スピードを武器にした右構えのスタイルでこれまでの戦績は26戦24勝(20KO)1敗1無効試合。SNSで抜群の人気がありインスタグラムのフォロワー数は驚異の1217万人を誇る。

しかし、4月のWBC世界スーパーライト級タイトルマッチでは前日計量でリミットを3.2ポンド(約1.4kg)超過。その試合ではデヴィン・ヘイニーを3度ダウンさせ判定勝ちを収めたものの、試合後のドーピング検査で陽性反応が出て無効試合となった。1年間の出場停止処分を受け、華々しいキャリアから一転、苦境に立たされている。

対する安保瑠輝也とは

安保はK-1で実績を積んだ選手で、今年7月にはエキシビションで元6階級王者マニー・パッキャオと対戦。引退していたパッキャオ相手に追い詰める場面を作るなど、ボクシングスキルの高さを証明した。今回のガルシア戦はさらに危険な挑戦となる。今回の試合は2分8ラウンドという特別ルールが勝敗を左右する要素となりそうだ。

通常のボクシングは3分3ラウンドで、時間が少なくなると、よりハイペースな試合運びとなる。ポイントを取るためにもお互いがよりアグレッシブな展開となりそうだ。

パッキャオ戦では、安保は185cmのリーチを活かし試合を優位に進めた。今回対戦するガルシアは174cmと体格差があるものの、スピードを武器とするガルシアにどこまで迫れるかが注目される。

この試合後、ガルシアはボクシング界に復帰するのだろうか。計量オーバーやドーピング問題で評価を落としたものの、彼の圧倒的な知名度はプロモーターにとっても魅力的な存在だ。

今後はルールを遵守した上での本格的な復帰が望まれる。一方で、謹慎中にもかかわらずエキシビションのリングに立つことが許される状況が続くと、ルール違反を容認する風潮を助長しかねないとの懸念もある。

この試合に対するボクシング界の反応がどのようなものになるかも、注目すべきポイントだ。試合はアメリカでPPV放送され、日本時間の午後2時頃に開始予定。大晦日の昼下がり、注目の一戦が繰り広げられる。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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