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遠泳で死亡事故続発の異常事態 #専門家のまとめ

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
(写真:アフロ)

 7月18日午前、福岡市西区の沖合で50歳の男性が溺れ死亡しました。男性は中学校の遠泳大会にボランティアで参加していたということです。この1か月の間に遠泳に絡む事故が続発しています。

ココがポイント

▼中学生の遠泳大会のサポートに参加していて、まさに泳ぎながら事故にあった模様

姪浜沖で男性溺れ死亡 遠泳大会ボランティアか(九州朝日放送 7/18(木) 15:00配信)

▼生徒たちに伴走して泳いでいた模様。警戒船がうつ伏せで浮いている男性を発見した

遠泳大会で生徒に伴い泳いでいた50歳男性が溺れ死亡 福岡市(NHK 7/18(木) 15:18配信)

▼奄美市では遠泳大会に参加して泳いでいた男性が6月30日に溺れて死亡している

遠泳大会に参加中、56歳男性が溺れて死亡 奄美・有免海岸沖(南日本新聞 6/30(日) 22:35配信)

▼6月29日にも西之表市の海岸で子どもの遠泳大会の練習に付き添っていた男性が溺れている

遠泳大会練習に付き添いの41歳男性が死亡 死因は溺死 鹿児島・西之表市(鹿児島テレビ 6/29(土) 18:21配信)

エキスパートの補足・見解

 この10年ほどにさかのぼりニュース検索すると、遠泳大会など明らかな遠泳中の死亡事故は2013年に福井県で発生した62歳男性が溺れた事故しか見当たりません。10年以上見当たらない事故が立て続けに3件発生していることに異常事態を感じます。健康管理に留意してから参加することしか対策が思いつきません。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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