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全英女子オープンゴルフで優勝した渋野日向子の東京五輪出場の可能性は? 日本代表争いはどうなるのか

金明昱スポーツライター
(写真:REX/アフロ)

 渋野日向子のフィーバーが止まらない。

 日本勢では1977年の樋口久子以来男女通じて42年ぶり2人目のメジャー優勝を達成したことで、新たな歴史の一ページを作った。

 プレー中の笑顔、ファン対応が現地ゴルフファンをも魅了し、“スマイルシンデレラ”の愛称までついた。

 さらに着用する「ビームス」のゴルフウェアが飛ぶように売れ、プレー中に食べる駄菓子の「タラタラしてんじゃね~よ」が大注目を浴びた。

参照:渋野日向子の全英女子ゴルフ初Vで「タラタラしてんじゃね~よ」が大反響。よっちゃん食品工業に聞くと…

 彼女を取り巻くこうした話題は当分続きそうだが、これだけブレイクすると、「来年の東京五輪で彼女の活躍する姿を見てみたい」と思うのが、日本のゴルフファンの心情かもしれない。

 気になるのは、渋野日向子が東京五輪に出場できるのかどうかである。

 その前に、東京五輪のゴルフ競技について少し説明しておきたい。

 出場人数は男女で各60人。場所は埼玉・霞ケ関カンツリー倶楽部で開催され、男子は2020年7月30日~8月2日。女子は同8月5~8日に行われる。

 ここに出場できる各国代表選手は、国際ゴルフ連盟(IGF)が発表している「オリンピックゴルフランキング」で決まる。

 男子は2020年6月22日、女子は同6月29日付のオリンピックゴルフランキング上位15位までの選手に出場権が与えられ、各国最大4名まで出場できる。16位以下は、1カ国2人(15位以内の有資格者も含む)を上限に選出される。

 ちなみに同ランキングは、男女ともに「世界ランキング」を基に算出される。つまり、世界ランキングが上がると、自然と五輪出場に近づくというわけだ。

 では、現在の日本女子選手の世界ランキングを見てみよう。

 渋野日向子が全英女子オープンで優勝したことで、世界ランキングは46位から14位に大きくジャンプアップした。

 これがどれほどすごいことなのか。

 そもそも渋野は今年がルーキーイヤーで、日本ツアーでは実績がなく、まったくの無名。昨年末時点の世界ランキングは563位だった。

 今年に入ってからツアーで2勝し、ランキングを一気に上げた。全英女子オープンが開催される前の世界ランキングは、日本人4番手の同46位だった。

 それが現在14位となり、10位の畑岡奈紗に続く日本人2番手となった。現在、IGFのサイトには最新の「オリンピックランキング」は更新されていないが、五輪出場圏内に入ってくるに違いない。

 渋野は試合後に五輪出場について問われ、こう答えている。

「この優勝でどれくらい(世界ランキングが)上がるのか分からないけど、この順位だけで東京五輪は絶対に決まらない。まだ何カ月もある。気を緩めず、頑張るしかないと思っています」

 確かに海外メジャーで優勝したからと気は抜けない。後ろには同29位の鈴木愛、同44位の比嘉真美子が控えている。

 2017年日本ツアー賞金女王でもある鈴木愛は、今季日本ツアーで3勝して賞金ランキング4位と好調を維持。比嘉真美子も今季1勝で賞金ランキング13位で、今年の米メジャーの全米女子オープンでも5位の実績を残している。

 渋野は日本に帰国後、今週から始まる国内ツアー「北海道meijiカップ」(8月9~11日、札幌国際カントリークラブ 島松コース)にさっそく出場するという。

 全英女子オープンの勢いを日本に持ち込むことができれば、優勝もあり得る。

 さらに熾烈な争いになってきた女子ゴルフの東京五輪の日本代表争いに今後も注目していきたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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