「ポイントカード」と「決済」のポイントは別のもの
ポイントカードにつくポイントと、決済につくポイントは別のもの——ポイントに詳しい人には常識ですが、意外と知らない人もいるのではないでしょうか。
これに対してau PAYは、11月22日からローソンでの支払い時にPontaカードの提示が不要になる新サービスを始めました。これはどういう意味なのか、解説していきます。
ポイントカードと決済のポイントは別
お店での支払い時にポイントをためる場合、まずポイントカードを提示し、その次に任意の決済手段で支払いをするのが基本といえます。
最近ではスマホ決済にもポイントがつきますが、これはポイントカードとは別の仕組みです。この区別が意外とついていない人がいるようです。
たとえばau PAYのアプリには、Pontaカードを表示する機能があります。しかしau PAYで支払いをするだけでは、「両方」のポイントをもらうことはできません。
au PAYによる支払いで0.5%のPontaポイントはもらえますが、これはPontaカードを提示するともらえる0.5〜1.0%のPontaポイントとは別のものです。
他社も同様に、楽天ポイントカードは楽天Edyや楽天ペイとは別の仕組み、dポイントカードはdカードやd払いとは別の仕組みです。
ただ、名称や位置付けが似ているために、よほどポイントや決済手段にこだわりがある人でなければ、直感的には理解しにくいと思います。
実際に筆者もお店のレジに並んでいるとき、「d払いで」と申し出た客に対し、店員が「dポイントカードはお持ちですか」と返し、客が「ポイントカード? いや、d払いで……」と困っている場面を何度も見かけたことがあります。
また、マクドナルドのモバイルオーダーには「ポイントカードを提示できない」という弱点がありますが、「アプリからスマホ決済をすればよい」という(おかしな)指摘を見かけたことがあります。これもポイントカードと決済手段の区別がついていない事例といえます。
もちろん、プライバシーなどの観点から、データを取られたくないので、あえてポイントカードを持たないという考え方はあると思います。
ただ、スマホ決済を使っているにもかかわらず、ポイントカードを提示しないというのは、そうした考え方とはおそらく無関係でしょう。
それよりも、仕組みをよく理解していないとか、物理的な「ポイントカード」が必要だと誤解している可能性があります。これらは誤解を生む仕組みのほうに問題があるといえそうです。
au PAYとローソン「1回でOK」に
今回、au PAYとローソンで実現した新サービスでは、ポイントカードの提示と支払いが1回の操作で済むようになっています(ほかにも、d払いとdポイントカードの組み合わせにも対応しています)。
これまでのように事前にPontaカードを提示することなく、au PAYで支払いをするだけで、登録済みのPontaカードとau PAYの「両方」のPontaポイントをもらえます。
ローソンは時間帯によって還元率が異なり、夜中の0時から15時59分までは0.5%還元、16時以降は1.0%還元のため、au PAYの0.5%還元とあわせて1.0〜1.5%還元になります。
あえてPontaカードを事前に提示した場合はどうなるかというと、その場合もポイントは変わらないようです。
また、他社のポイントカードを提示してからau PAYで支払った場合、Pontaカードの分は加算されない仕様となっています。
こうした挙動から、ローソンが対応している他社のポイントにも配慮しつつ、au PAYの使い勝手を改善するためにシステム面で対応を進めたものと考えられます。
また、これまでローソンのレジでは「Apple Pay」を選択し、SuicaやiDなどで支払うことで、Pontaポイントカードを提示する必要がなくなる(1度で済む)仕組みがありました。
今回の新サービスにより、Apple Payだけでなくau PAYでも1度で済むようになったことで、ローソンにおけるau PAYの不便さが解消されたといえそうです。
導入の経緯について、KDDIによれば「ローソンのレジでポイント提示を忘れてしまうことがあるというお客様の声をいただいていた」(広報部)とのこと。
これが1度で済むようになったことで、「レジ前でのオペレーションを簡便化することにより、レジスピード向上も見込める」「ポイントカードを提示するお客様、au PAYバーコードのスキャンをする店員さんの双方の利便性向上につながる」(広報部)と説明しています。
「1度で済む仕組み」広がるか
他社の事例では、ファミリーマートの「ファミペイ」アプリにおいて、事前にポイントカードを登録しておくことで、ポイントカードの提示とFamiPay払いが1度で済む仕組みが実現しています。
ただ、これを実現するにはアプリとPOSシステムの両方を対応させる必要があると考えられることから、共通ポイントとスマホ決済の仕組みを統合するのはそう簡単なことではなさそうです。
また、ドラッグストアなどではPontaなどの共通ポイントに加えて、独自のポイントカードに対応しているところがあります。この場合、コードの読み取りを3回以上求められることになり、いかにも煩雑です。
スマホ決済といえば還元率が注目されがちですが、長期的には「使いやすい」ものにユーザーは流れていくと筆者は考えています。こうした二度手間、三度手間を回避する動きが今後も広がるか、注目しています。