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果たしてラファエル・ナダルは年間1位を死守できるか!? 男子テニスツアー最終戦・ATPファイナルズ。

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ファイナルズの初戦で敗れたナダル(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 男子ワールドプロテニスツアー最終戦であるNitto ATPファイナルズ(11月10日~17日、ロンドン・O2アリーナ)の大会2日目、アンドレ・アガシグループのラウンドロビン(総当たり戦)の初戦で、第1シードのラファエル・ナダル(1位、スペイン)が、第7シードのアレクサンドラ・ズベレフ(7位、ドイツ)に、2-6、4-6で敗れる波乱が起こった。これまでの2人の対戦ではナダルの5戦5勝だったが、今回ディフェンディングチャンピオンのズベレフは、ナダルからの嬉しい初勝利で好スタートをきった。

 一方、ナダルは、直前のマスターズ1000・パリ大会の準決勝直前に、腹筋を痛めてその試合を棄権して大事をとってから、ファイナルズに臨んでいた。

 ズベレフにいいところなく敗れ、ラウンドロビンの残り2試合を戦いきれるのかという疑問も上がったが、ナダルは大会途中棄権を否定した。

「腹筋は全く問題なかった。腹筋に痛みも全く感じなかった。サーシャ(アレクサンドラ)がいいプレーをして、自分がひどいプレーをしただけ。自分には競い合うためのベストスピリットが必要だった」(ナダル)

 これまでのキャリアで、ナダルは、テニスの4大メジャーであるグランドスラムのすべてで優勝し、男子国別対抗戦・デビスカップでも優勝経験があり、オリンピックでも金メダルを獲得したことがある。ただ、ATPファイナルズだけが唯一取れていないビッグタイトルだ。ナダルは、ツアー最終戦に2005年以来15年連続で出場権を獲得してきたが、けがによる出場辞退も多く、実際は今回を含めて9回目のプレーとなる。

 また、世界1位を奪還したナダルだが、年間ナンバーワンを死守するためには、ノバク・ジョコビッチ(2位)の猛追を振り切らなければならない。そのためには、一つでも多くの試合に勝っておきたいところだ。ナダルは決して言い訳をしないが、おそらくベストコンディションではないだろう。その中でどれだけ戦えるのか注目だ。

ファイナルズのデビュー戦で見事初勝利を挙げたチチパスは、全身で喜びを表現した(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)
ファイナルズのデビュー戦で見事初勝利を挙げたチチパスは、全身で喜びを表現した(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 もう一つの試合では、第6シードのステファノス・チチパス(6位、ギリシャ)が、第4シードのダニル・メドベデフ(4位、ロシア)を、7-6(5)、6-4で破って、ファイナルズのデビュー戦で見事初勝利を勝ち取った。また、メドベデフからも初勝利となった。

「夢見ていたことより、実際の勝利の方がもっと良かった。Nittoファイナルズでいいスタートが切れました。今日(試合当日)はとてもリラックスできていた。恐れるものは何もないように感じた。ファイナルズはとても特別に感じた」(チチパス)

 23歳のメドベデフと21歳のチチパスは、“Next Gen”と呼ばれる若手期待の選手で、順調に成長を遂げて、共にATPファイナルズ初出場を果たし、ツアー最終戦に新しい世代のウェーブをもたらしている。

 アガシグループのラウンドロビン第2戦では、チチパスとズベレフ、ナダルとメドベデフが対戦することになった。準決勝進出へ近づくのは誰になるのか重要な戦いになる。アガシグループのラウンドロビン第2戦は11月13日に行われる。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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