食事が食べやすくなる便利グッズ 〜お皿編〜
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今月のテーマ11月11日介護の日にちなんで「介護便利グッズ」です。
病院や施設で実際にスタッフが使っている便利な介護グッズや、障害のある方にも使いやすく工夫された福祉用具をご紹介します。
食べることは生きること
片麻痺や腕・指の障害などにより、片手しか使えない状況になった場合、どんなことに困ると思いますか?
今回は食べることに直結する、食器についてご紹介させていただきます。
障害があっても扱いやすいお皿
食事を盛り付けるお皿、みなさんはどんなものを使っていますか?
カレー用、ハンバーグ用、オムライス用など、メニューに合わせて分けているという方もいるかもしれませんね。
一般的には知られていませんが、片手しか使えない場合や、手の力が弱くなってしまった場合におすすめしている介護用品としてのお皿があります。
介助皿や自助食器と言われており、お皿そのものが食べる動作をサポートしてくれるんです。
最後まですくいやすいお皿
カレーやシチューを食べるとき、最後の数口分がすくいづらくて、お皿を傾けることはありませんか?
お皿の形状がずっとなだらかだと、食べ物がスプーンにのせづらくて、お皿からはみ出るまでスプーンで追いかけるといった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。わたしはオムライスを食べるときに、最後の一口がどうしてもスプーンにのらなくていつも苦労しています。
手や腕に障害がなければ自然とお皿を傾けられると思いますが、障害のため片手しか動かせないとなると、動かせる手にはお箸やスプーンを持つので、やはりお皿を支えることはできませんよね。
そこでおすすめしたいのがこちらのお皿です。
お皿のふちが立ち上がっていて、取りこぼしなく最後までスプーンですくうことができます。
また、お皿の裏には滑り止めがついているので、お皿を支えながら食べることができない方にも扱いやすいです。
(お皿の下に滑り止めシートを敷くこともあります)
スプーンを右手で持つ場合には、お皿の立ち上がりが左にくるようにお皿を置き、スプーンでお皿の立ち上がりに向かってすくいます。
横方向への動きが苦手な方には、立ち上がりが手前になるようにお皿を置き、奥から自分へ近づけるようにすくいます。
わたしの働く病院でも、食事の様子を見せて頂いて、看護師さんやリハビリ職員が必要と判断した場合には、お食事を介助皿で提供してもらうように調理担当の方へお願いすることもあります。
ワンプレート皿
小鉢がお膳のあちこちにあると、肩や腕の動きに障害のある患者さんには食べづらいことがあります。
また、高次脳機能障害のひとつで、視野の半分を見落としてしまう半側空間無視という障害があると、お皿やお膳の片側に気づかないということもあります。
ワンプレート皿にすることで、今日のメニューはお皿がいくつあるのかを気にしなくて済むし、自分で半分見落としていることに気付けなくても、そばにいる人がお皿をくるっと回してあげれば気付くことができます。
取っ手付きのお皿やお椀
握力の弱い方や、指や腕に障害があるもののわずかならうごかせるという方におすすめです。
取っ手なしのお皿やお椀を持ち上げるとき、意外と指の力が必要となります。取っ手が付いていることで、弱い力でもお皿を支えやすく、指に引っ掛けて持ち上げやすくなります。
番外編 お皿の色にご注意を
白いお椀の上に白いごはんやお粥が盛り付けてあっても、手をつけずに置かれたままになっているということがあります。
お皿と食べ物の色味が近いと、同化して見えてしまい食べ物に気付かないということがあります。
このケースでは、色付きのお皿に盛り付けることで解決した例が多くありますので、ナチュラルな色味のお皿を選ぶなどの工夫をするのもひとつです。
まとめ
身体が不自由になった患者さんと接していてよく耳にするのは「トイレで用を足したい」に次いで「自分でごはんを食べたい」ということばです。
自分で食事が食べられるということは、当たり前のようで実はとても優先度の高い項目なのです。
今回ご紹介した食事を自分で食べやすくするお皿に加えて、次回はお箸やカトラリー類のご紹介をする予定です。
少しでも理学療法士やリハビリテーションに興味を持っていただけたらうれしいです。