イラン旅客機がシリア領空で迎撃を受ける:攻撃したのはイスラエル軍、それとも米主導の有志連合?
IRIBはイスラエル軍戦闘機がイランの旅客機を迎撃したと伝える
イラン国営放送(IRIB)は7月23日、イランの民間航空会社マーハーン航空の旅客機が、シリア領空でイスラエル軍戦闘機複数機の迎撃を受けたと伝えた。
迎撃を受けたのはテヘラン発ベイルート行きのIRM1152。
IRIBによると、旅客機はベイルート国際空港に緊急着陸するために急降下し、その際に複数の乗組員が軽傷を負った。
SANAは有志連合による攻撃を疑う
これに関して、シリア国営通信(SANA)は、複数の民間航空筋の話として、米主導の有志連合所属と思われる航空機が、ヒムス県タンフ国境通行所一帯地域のシリア領空でイランの旅客機を迎撃したと伝えた。
タンフ国境通行所一帯地域は55キロ地帯と呼ばれ、米軍が部隊を常駐させ、占領を続けている地域。
SANAによると、機長は緊急退避行動をとり、機体を急降下させ、乗客複数人が軽傷を負ったものの、無事ベイルートに到着したという。
ツイッターでの情報拡散
一方、「中東と地中海の空域の観測者」を自称するツイッター・アカウントのINTELSky は、迎撃を受けたとされる旅客機をイスラエル軍戦闘機が迎撃するのは不可能だとする書き込みを連投した。
INTELSkyは、(1)イスラエル軍が攻撃すれば、政治的・軍事的な反発に直面する、(2)シリア軍による迎撃行動が見られなかった、(3)攻撃を受けたとされる航空機が緊急回避行動をとったことが確認されなかった、としたうえで、強い上昇気流のなかに入り、機内が大きく揺れた可能性が高いと指摘した。
しかし、INTELSkyは、攻撃に参加したと思われる戦闘機の写真を「Su-27 or F15?」というコメントとともに公開し、ロシアが関与した可能性を指摘する一方、旅客機がイランに引き返したとの見方を示した。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)