阪神のスラッガーや巨人のビッグ左腕はブレイクするか【2024年の注目選手セ・リーグ編】
プロ野球12球団の春季キャンプは2月1日に一斉スタートとなるが、各球団からメンバーの振り分けが発表されている。昨シーズンにきっかけをつかんだ者、ウインター・リーグをはじめオフシーズンに力を伸ばした者など、2024年シーズンにブレイクが期待される“新鮮力”をピックアップしてみよう。まずは、セ・リーグから。
連覇を狙う阪神では、左腕の門別啓人が昨秋のキャンプで注目された。井川 慶を凌ぐ潜在能力と評され、岡田彰布監督も「隠さなあかん」と笑顔を見せるなど、今季の成長が期待されている。また、育成ドラフト1位で入団した野口恭佑は、ウエスタン67試合で打率.303、6本塁打18打点をマーク。アジア・ウインター・ベースボールでも打率.313を叩き出した。契約更改時に支配下登録されて背番号は97に。フルスイングだけでなく、コンタクト率の高いバッティングで開幕一軍を目指す。門別、野口ともに春季キャンプは一軍でスタートする。
Aクラスから頂点を見据える広島には、フリー・エージェント移籍した西川龍馬の人的補償で加入した日髙暖己がいる。そっくりなフォームで「山本由伸二世」と言われた才能が開花するか。野手では、内田湘大がパンチ力に磨きをかけている。昨季、主に三塁手として87試合に出場したウエスタンでは打率.163。プロの厳しさを思い知らされたものの、昨秋のキャンプでは紅白戦で豪快な満塁弾を放つなど、プロの水にも慣れてきたという印象だ。
ペナント奪取の機運が高まってきた横浜DeNAでは、左腕の森下瑠大が面白い。マウンド度胸があり、テンポよく投げ込むボールは着実に進化している。野手では、投手から転向して育成2年目だった勝又温史がイースタン105試合で打率.272、6本塁打30打点をマークした。巧みなバットコントロールや打球判断に優れた外野守備で支配下登録に復帰しており、勢いのあるプレーで一軍定着を果たしたい。
巨人の長身左腕は10キロ近く球速アップ
阿部慎之助監督の下で巻き返したい巨人では、育成3年目の左腕・鴨打瑛二がメキメキと頭角を現してきた。195cmから投げ下ろすストレートは昨年までに10キロ近くスピードアップ。変化球とのコンビネーションも効果的になり、シーズン後にはアジア・ウインター・ベースボールにも派遣された。7試合にリリーフ登板し、まだ波はあるものの角度のあるボールは大きな武器になりそうだ。好素材がひしめく育成の中から、まずは支配下登録を勝ち取りたい。また、野手では舟越秀虎に注目。2020年に育成ドラフト5位で福岡ソフトバンクへ入団し、昨季はファーム非公式戦90試合で68盗塁をマークするも自由契約となった。ただ、新天地でも快足をアピールすれば、チャンスは得られるはずだ。
一気の逆襲に転じたい東京ヤクルトでは、192cmの右腕・丸山翔大が右肩上がりの進化を見せられるか。昨季開幕直後に支配下登録されると、22試合にリリーフ登板。アジア・ウインター・ベースボールでも10試合で中継ぎを任され、テンポのいい投球で防御率1.32と安定感を示した。野手では、高卒ルーキーながら、5月24日のイースタンの千葉ロッテ戦で2打席連続本塁打を放った西村瑠伊斗の成長が楽しみ。左打ちでレフト方向へも一発を打ち返すパワーとリストワークは非凡で、三塁の守備力を磨いて一軍昇格を果たしたい。
そして、Aクラス入りはノルマと目される中日では、昨年の育成ドラフト1位で、6月5日に支配下登録された松山晋也のさらなる成長に期待したい。36試合で1勝17ホールド、防御率1.27の安定感を磨き上げれば、ブルペンのキーマンとしてチームに貢献できるはずだ。野手では、3年目の鵜飼航丞が本格化できるか。アジア・ウインター・ベースボールでも最多本塁打をマークしたが、結果を求めて自分からボールに突っかかってしまう打席もあり、いかに狙い球を絞り込んで仕留められるかが課題になる。
若手にはいくつか課題も見られるが、それを上回る勢いに乗ればチームを押し上げるパフォーマンスを発揮することもできる。この中から誰がブレイクするか、春季キャンプでの動きにも注目したい。