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ローソンのATMでお金をおろしたら、からあげクンが半額に

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
銀行のATMからまさかクーポンが出るとは?(画像はローソン銀行ホームページ)

セブンイレブンにセブン銀行、ローソンも対抗して? ローソン銀行が誕生

今ではコンビニにATMがあることに誰も違和感を持ちませんが、実はまだ20年くらいのことです。金融機関の提供するATMを置く戦略、セブン銀行のように自社で銀行を設立してATMを置く戦略とありますが、今ではコンビニだけではなく、駅の構内外、スーパーマーケットの敷地内などATMはいろんなところに設置されるようになりました。

2018年10月15日、ローソンがローソン銀行を設立されたことを、店頭にサンドウィッチマンの広告を見かけて知った人も多いと思います。しかもその内容が、「ATM利用でからあげクンが半額クーポン」というものでしたから、つい入店してしまった人もいるはずです。

ローソン銀行の参入のねらいやビジネスモデルについてはいろんなメディアが書くでしょうから、ここでは個人目線でローソン銀行とそのATMの利用のポイントを考えてみましょう。

もしかするとその「クーポン」そのものが、ローソン銀行最大の魅力になるかもしれません。

ローソン銀行の口座がなくてもローソン銀行のATMは使うことができる

個人目線でまず考えておきたいのは「ATMが便利か」という感覚です。

今までもローソンにはローソンATMとして自社グループで管理されているコンビニATMがありましたが、これがローソン銀行のATMとなりました。端末に近づいてみたら「あれ、今までと同じじゃん」と思ったとしたら理由はそのためです。

とすると、今までどおり、どこの銀行のカードでもこのATMで利用できるのか、というのが最初のポイントです。

ローソンATMのホームページには各行のカードの利用料金を表示していますが、私がみるところ、ローソン銀行になったからと大きな変化があるわけではなさそうです。

ローソンATMのホームページ

たとえば、みずほ銀行の場合、ローソン銀行、セブン銀行、イーネット(ファミマ等)については同列に表記し、手数料の違いがありません。 →みずほ銀行ホームページ

ネット銀行系の例として新生銀行のケースをみても、セブン銀行、イーネットとローソンATMは取引条件の違いがありませんでした。 →新生銀行ホームページ

ローソン銀行のATMについて、ローソン銀行以外の銀行のカードを利用するとした場合、手数料については基本的なコンビニATMと同じ考えてよさそうです。

今まであまりコンビニATMを使ってこなかった人は、自分の銀行のカードが使えると知らなかったかもしれません。その場合は、自分の銀行のホームページで利用条件を確認してみましょう。コンビニATMで無料で引き出せるのなら、便利さが増したということです。

ATMを使ってからあげクンが半額に? クーポンの魅力には注目

ちょっと面白いのは、ローソン銀行のキャンペーンとして「クーポン」を提示してきたことです。

現在、からあげクンの割引クーポンがローソン銀行のATMを利用すると出てきます。なんと108円相当、ということです。このキャンペーンは10月末まで行われるようです。

ローソン銀行 キャンペーンの説明ページ

クーポン活用と言えば、ローソンの得意技でもあります。スマホアプリのSmartNewsにはクーポンがありますがローソンのMachiカフェの割引クーポンがあります。ローソンのポイントシステムであるPontaにはいつもいろんなクーポンがあってLoppi(店頭端末)もしくはローソンアプリで発行すると割安な買い物ができます。

10ポイントでクーポンを発行すると30円引きとか、60ポイントで130円くらいする商品をもらえる引換券が発行されたり、上手に使いこなすとかなりお得だったりします。

同じアプローチで、「コンビニATMを利用するとからあげクンが半額になる(半額相当のクーポン券が出る)」というようなクーポンが出てくるのは、これはかなりお得です。

仮に108円の手数料がかかったとしても、実質無料でお金を下ろせたことになりますし、無料でコンビニATMを使える人にとっては108円の割引そのものがお得ということになるからです。

からあげクンの割引クーポンは10月中の限定で実施されるようですが、今後こういう取り組みを継続するならば、ローソン銀行のATMの「おもしろさ」が出てきます。注目してみたいところです。

(なお、セブンイレブンが対抗措置を取ってくるとさらに面白くなりそうです。セブンカフェ無料とか、個人的にはいいなあと思いますがどうでしょうか)

ローソン銀行に口座を作るか、ローソン銀行のATMだけを使うか

さて、ここまでの紹介はコンビニATMとしてのローソン銀行だけを触れてきましたが、これがローソン銀行の現在の問題点でもあります。

ローソン銀行、というからにはローソン銀行の口座を開設し、ローソン銀行のキャッシュカードを作ってローソンのATMを使う、という選択肢もあります。実際、口座開設は可能です。

しかし、わざわざローソン銀行の口座を開設するメリットが今のところ強く見いだせない状態です。まず、金利についてとても高いということはありません。振込手数料がお得でもありません。同一行内振込手数料も有料で、利用状況に応じて無料になるようなステージも設定されていません(必ず振込手数料はかかる)。ローソン以外の銀行ATMでの利用にも制限があります。

気になるところとしては、利用に応じてPontaのポイントがつく、という表現もあるのですが還元率や利用の条件などもホームページに明記されていない状態です。

だとするとわざわざローソン銀行の口座を作ってカードを持つ必要はほとんどなく、メガバンクやネットバンクの口座をもっておけばよく、ローソン以外のコンビニでも同様の条件で利用できます。今のところは急いで口座開設をしなくてもよさそうです。

なお、報道をみるところ、ローソンというコンビニ店舗を通じた投資信託の販売やクレジットカードの発行が次の手、ということのようですが、これについては未発表のサービスですから、これも今は様子見でよかろうと思います。

できたばかりのローソン銀行、今後どう動くかはまだ未知数ですが、ローソン銀行のATMの魅力として「クーポン」には注目してもいいでしょう。お金を下ろしたら(もちろん手数料は無料で下ろしたいが)、割引券がもらえるなんて、メガバンクの支店にあるATMではあまり考えられないですからね。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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