【年金】第3号被保険者はズルい立場なのか廃止するべきなのか #専門家のまとめ
国民年金制度の種別のひとつ、第3号被保険者について、労使双方が廃止の検討を求めています。一般には「負担がゼロでズルい」とされるわけですが、本当にズルい立場なのでしょうか。
ココがポイント
会社員や公務員の配偶者が一定の年収以下である場合、国民年金の保険料負担を免除されており(基礎年金はもらえる)、これを第3号被保険者といいます。
労働組合側の「連合」と、経営者側の「経済同友会」がともに第3号被保険者制度の廃止について協力することを示し、注目されています。
第3号被保険者の多くが年収の壁手前で働いている一方、働かない専業主婦の夫は高年収の傾向があります。
現状、厚生労働省の年金部会では、2025年提出予定の年金改正法案では、第3号被保険者の廃止、抜本的見直しは盛り込まない方針のようです。
エキスパートの補足・見解
一口に第三号被保険者といっても、「パートで働いている主婦(年収の壁の手前で意図的に調整している人もあれば精一杯働いて手前止まりの人もいる)」「子どもが小さく、また保育園なども利用できていない主婦」「子どもがいないか、すでに子が社会人となった主婦」と様々です。
おそらく「子どもが小さく、保育園なども利用できていない主婦」が保険料無料となることには違和感はないと思います。一方で「夫が金持ちで子どもも大人になった専業主婦(いわゆる有閑マダム)」については保険料を払うべきと感じる人が多いでしょう。
連合や経済同友会の資料も、子育て中であるなど理由があり働けない立場についてはサポートがあってしかるべきとしていますが、この線引きと具体的なサポートの提案があって初めて「第3号被保険者廃止」の提案は成り立ちます。そうしないと「苦しい子育て家庭に社会保険料負担増」となってしまう恐れがあります。
第3号被保険者廃止の議論は総論としては賛成ですが、具体的な各論をセットで提言、議論する必要があるでしょう。