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2025年あなたのマネー3つの課題 キーワードは「上昇」

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
画像は筆者がAdobeFireflyでAI作成してもらった明るい未来のイメージ

2025年もお金の問題はあなたを悩ませる!

2025年がやってきました。「気がつけばあっという間に2024年は過ぎた」という人もあれば「公私ともにイベントの多い充実した2024年だった」という人もあるでしょう。どちらにも時は等しく流れ、新年がやってきました。

お金の世界において、2024年は大きな変化のあった年でした。NISAが新しくスタート、日経平均株価はバブル後最高値を突破、かと思えば8月には激しい急落(とあっという間の回復)を見せました。為替も激しく振れた1年でした。

2025年はどういう年になるでしょうか。今回は新年最初のコラムとして「2025年、個人のマネー3つの課題」をあげてみたいと思います。

個人にとって、お金の問題とどう向き合っていくかはとても重要です。近年注目されているファイナンシャル・ウェルビーイングでは、こうしたお金の問題での不安解消や、幸せを感じられるお金とのつきあい方をテーマとしていますが、年初は「お金と幸せ」について考えるよいタイミングです。

今回紹介するのは「3つの上昇」というキーワードです。

キーワード1:やっぱり今年も怖い「物価上昇」

最初のキーワードは「物価上昇」です。2024年の消費者物価指数がどれくらい上がったか、まだ確定数値は出ていませんが、東京都23区内の消費者物価指数については速報値で年2.1%となっています。2023年が3.0%であった数字よりは低いものの、3年連続で2%台となっており、物価上昇はもはや継続するものとなっています。

2024/12/27 NHK 2024年 東京23区の消費者物価指数 去年1年間と比べ2.1%上昇 

生活必需品においては平均値を超える値上がりがあるのも近年の特徴です。先ほどのニュースでは、「生鮮食品を除く食料」は3.7%の上昇として、平均以上の数値となっています。

昨年はお米の品切れと値上がりが話題となりましたが、「米類」の値上がり率は27.1%にもなったそう。3年前の食パンが1年で20%以上値上げしたように、平均を大幅に上回る値上がりがあるのもここ数年のトレンドです。

平均にならしたとき、5%とか10%の急激なインフレが続くことがないとしても、これからも大幅上昇が個別にありえると覚悟しておく必要があります。

2025年は引き続き「物価上昇」を意識した家計管理が必要になります。家計簿アプリなどを活用し、出費の変化に関心を持ちたいところです。

キーワード2:今年上がらなければヤバい「賃金上昇」

あなたのお給料、過去3年くらいを振り返ってみてください。どれくらい上がってきたでしょうか。

一般的には「物価上昇があった翌年、それに見合うベースアップ」が普通です。中小企業ほど賃上げが後から追いかける傾向があります。しかし、去年も一昨年もほとんど賃上げがなかった場合、今年給料が上がらなかったらそれは大問題だと覚悟しましょう。

物価が上がっても給料が上がらないとしたら、それは実質マイナスということです。総務省の家計調査年報(年平均)では、

2022年 2.5%
2023年 3.2%

の物価上昇ですから、この2年間で5%以上はお給料も上がっている必要がありました。2024年の物価上昇も考えれば今年も上がって当然です。まずは物価上昇分くらい賃上げが今年の春に実現するか、しっかり確認してください。

もし今年の春に十分な賃上げがないなら、本気で転職を考えてください。3年賃上げする力がない会社は、おそらく今後も賃上げをしてくれないと思われます。求人も多い今は、賃上げしてくれる会社に移る大チャンスです。

また、全社員を対象としたベースアップだけでなく、個人としての自分のキャリアアップによる昇給(昇格)も意識してみましょう。物価上昇を上回る賃上げを獲得する方法として、自分自身の能力向上(とそれを評価し処遇する社内人事制度)も重要なポイントです。

あなたの高い能力に対し、賃金アップで報いてくれない会社には、見切りをつけてもいいでしょう。この春は転職も視野に「賃金上昇」に注目してみてください。

キーワード3:過度な期待にご注意「株価上昇」

3つ目の上昇についてはどうでしょうか。「株価上昇」です。2024年といえば日経平均株価がバブル後最高値を記録、ようやく「失われた○年」を乗り越えたと話題になりました。

日経平均株価、2024年末はギリギリ4万円に達しなかったものの、19.2%の上昇となりました。物価上昇の基調とともに株価の上昇基調もここ数年続いています。

2024年1月からスタートした新NISAも好調に口座数を増やし、多くの人が投資をするようになりました。積立投資が定着してきたのも2024年の特徴です。投資信託で人気の「eMAXIS Slim 全世界株式」に代表されるような「オールカントリー(全世界株式)」での投資が流行しているのも投資トレンドのひとつです。

ただし、株価の上昇については「長い目でみれば上がる」ものの「上がったり、下がったり」の性格がありますので注意が必要です。

世界的には紛争、武力行使が相次いでいますし、政情不安な国もあります。アメリカはトランプ大統領に就任したあと、どう動くか、またそれに諸外国がどう応じるかなど、不安定要素がたくさんあります。

経済は成長し、イノベーションは積み重なっていきますから、投資の上昇率は平均的には預金金利を大きく上回ると考えられます。しかし、短期的には数十%の下落もありえます。

このとき、値下がり時に焦って売ってしまうと、その後の株価回復時にほぞをかむことになります。2024年の8月が象徴的です。日経平均急落!と焦って売った人は損失確定をしましたが、1カ月くらい様子を見た人にはマイナスはほとんどなく、その後は回復しました。株価については「上昇」だけでなく「下落」に焦らないようにしたいものです。

そして、「まだNISAやっていないんですよね」という人はぜひ、今年こそ投資デビューをしてみてください。

3つの「上昇」とうまくつきあっていこう

「物価上昇」はどちらかといえば厄介なもの、「賃金上昇」と「株価上昇」はぜひとも得たいものですから、ちょっと性格は異なりますが、2025年、あなたのお金のテーマとして3つの「上昇」をあげてみました。

あなたがお金について考えるとき、こうした「上昇」をどう考えていくかがポイントになります。ちょっとプラスするなら「預金金利の上昇」「借入(ローン)金利の上昇」「住宅購入価格の上昇」なども2025年に起きそうな「上昇」です。

こうしたお金の「上昇」とうまくつきあい、2025年はお金の心配や不安を少しでも減らしていきたいもの。今年があなたにとっていい年になりますように!

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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