2023年は観測史上もっとも暑い年 日本など77か国が過去最高
2023年は観測史上もっとも暑い年だったと、アメリカ海洋大気庁が12日(金)発表しました。気象官はその驚きをこう話しています。
「気候分析を見た後、私は立ち止まってその結果にがく然としました。なんせ昨年は、174年間の記録の中で一番暑かっただけではなく、圧倒的にもっとも高温だったからです」。
分析によれば、昨年の陸海合わせた地球全体の平均気温は産業革命前と比べ1.35度高くなったようです。これで過去10年間すべてが、史上最も暑い年の上位10位を占めることになりました。
昨年5月、ハワイ島の観測所にて測定されたCO2濃度は424 ppmで、観測史上最高に達しました。過去200万年間のうちでもっとも高いだろうとも考えられています。(※PDF)
77か国で国内最高
一体どれくらいの面積が、過去に経験したことのない暑さとなっていたのでしょう。
カリフォルニア大学バークレー校の分析によれば、地球上の17%、陸上では23%の地域が記録的に高温な年となり、その多くは大都市だったといいます。
また国別でみると、77か国で年平均気温が過去最高に達していたようです。日本、中国、韓国、バングラデシュ、そしてアイルランド、ドイツ、ブルガリアに、チェコ、ブラジル、メキシコなどといった国々が挙げられます。
2023年を襲った異常気象
高温に付随して、昨年は前代未聞の山火事や洪水が起きるなど、異常気象に見舞われた年でもありました。
まず、カナダで森林火災が多発しました。1年間で6,700件の森林火災が起き、日本の国土のおよそ半分に当たる18万5千平方キロが焼け野原となりました。件数、燃えた面積ともに観測史上最悪で、排出されたCO2は5億トンと、これまたワースト1位の記録を塗り替えました。
カナダの煙は、世界最大の都市に危機的な大気汚染をもたらしました。6月、ニューヨークの中心街は煙に包まれ、まるで火星を思わせるような光景が広がりました。この時の大気汚染指数は史上最悪で、「多分タバコを吸うより、かなり体に悪い」と医師が忠告したほどでした。
9月には、「メディケーン」と呼ばれる地中海の低気圧がアフリカ北部リビアを襲い、ダムが決壊して、大洪水が発生しました。町の4分の1が海に流され、死者行方不明者は1万2千人以上に及んだほどでした。昨夏、地中海の海水温は観測史上最高を記録しています。
海の高温は、陸地にも容赦ない蒸し暑さをもたらしました。
8月、ペルシャ湾に面するイランでは体感温度が81度まで上がり、体感気温の世界記録に並びました。ペルシャ湾一帯はもともと高温多湿ですが、温暖化が益々進むであろう今後、生存不能となるかもしれないと危惧されています。
アメリカ海洋大気庁によると、2024年は3分の1の確率で2023年よりも暑くなり、過去もっとも暑い年の上位5位にランクインする確率は99%だということです。
暑さの原因
昨年はややもすると、過去12万5千年の間でもっとも高温だったかもしれないそうです。この予想を超えるような高温に対し、国連は「地球沸騰化(グローバル・ボイリング)」などと強烈な言葉で表現しました。
しかしなぜこんなに暑かったのでしょう。
エルニーニョ現象と温暖化が大きく取り上げられますが、それに加えて、船の燃料規制によって空気がきれいになり、太陽光を遮るものが減ってしまったとか、2年前に起きたトンガの海底火山の噴火で放たれた大量の水蒸気が気温を上げる効果をもたらしたなどといった話もあります。
つまりどうやら様々な要素が一気に働いてしまったようなのです。
国連のグテレス事務総長は「人類の行動が地球を焼き焦がしている」と警告したそうです。昨年の暑さの背景には様々な要因が絡んでいる可能性があるにしろ、温室効果ガスの排出削減に向けて、人類の課題は山積しています。