名古屋の猛暑 は「冷たい名古屋めし」で乗り切ろう!
40・3度。名古屋市の最高気温が、8月3日に観測史上最高を記録しました。東京23区、大阪を含む三大都市で40度に達したのも初めてです。
その後も40度近い暑さが続き、記録的な猛暑にげんなりしてしまいますが、仕事を休めない人、外出を避けられない人、さらにかねてより名古屋を訪れることを楽しみにしている方もいらっしゃるでしょう。そこで、暑い名古屋の夏を少しでも楽しく感じられる、そんな“冷たい”名古屋めしをご紹介します。
未体験の味わい。衝撃の冷やし味噌煮込みうどん!
名古屋めしの中で最も“アツアツ”が似合うのが味噌煮込みうどんです。土鍋から湯気がぐつぐつとわき立ち、はふはふとすすれば真冬でも体の芯からぽかぽかと温まります。
いわば“冷たい”に最もそぐわないこの味噌煮込みの常識を打ち破る一品が「吉野屋」(名古屋市中区)の冷やし味噌煮込みうどんです。
「冷たいつゆでは味噌がとけず、また麺にしみこまないので、つゆは味噌をといてから冷やし、麺はあらかじめ味噌を練り込んで打っています」と店主の畔柳謙一さん。数年前から温めていたアイデアを試行錯誤の末に形にし、今年6月に売り出しました。
氷がゴロゴロ盛られた見た目からして冷たそう。麺は独特のもっちりした噛み応え。ひんやり感とともに漂ってくる味噌の香りは何とも奇妙な印象。表現に困るのですが、冷めた味噌汁を冷や飯にぶっかけたねこまんま、あるいは宮崎の郷土料理・冷や汁の味噌バージョンとでもいえば多少はイメージしてもらえるかもしれません。とにかく経験したことのない味わいで、体よりも気持ちの芯からひんやりしてくる珍グルメです。
名古屋流カレーうどんを夏でも涼やかに。カレーころきしめん
名古屋では冷たいつゆをかけたうどん、きしめんを“ころ”と呼びます。とりわけ舌ざわりが滑らかなきしめんはころがお薦めで、名古屋市内では現在約40店舗が参加する「きしころスタンプラリー」が開催中。イベント限定メニューや定番など、各店自慢の冷たいきしめんを食べ歩きできます。
「勝美屋」(名古屋市東区)のカレーころきしめんは、カレーつゆは温かいのですが、きしめんは冷水でしめ、さらに丼も冷やしてあるので、丼を持つ手と舌で涼を感じることができます。
名古屋では独自の進化を遂げた名古屋流のカレーうどんが普及していて、ここではそのルーツの流れをくむカレー粉を使用。スパイシーな中に昔ながらのカレーの素朴さもあり、これがきしめんにしっかり乗って、するすると優しくおなかにおさまります。カレーは夏バテ防止にも効果的なので、汗をかかずにカレーを食べられる選択肢としてもいいんじゃないでしょうか。
台湾系名古屋めしの進化版! 台湾まぜきし
「三朝」(名古屋市千種区)もきしころスタンプラリー参加店。カレーうどんや台湾ミンチを使った創作メニューが豊富で、スタンプラリー対象メニューは台湾まぜきし。今や名古屋めしとしてすっかり浸透した台湾まぜそばをアレンジしたもので、冷たいきしめんにトウガラシの辛みが利いたミンチや卵黄、各種薬味をトッピング。辛みは強烈なのに、きしめんのなめらかさでつるっとのどを通っていきます。
チャーハン&鳥スープ付きのセットにすると、まぜきしめん→チャーハン→追いチャーハン→〆の雑炊、とひつまぶし風に4つの味を楽しめます。暑くて食欲がわかない時でも、これならがっつりお腹を満たせるスタミナメニューです。
冷たさとおいしさが両立! コールド手羽先
名古屋の居酒屋には必ずあるほどの定番メニューが手羽先唐揚げ。何とこの冷製を新たに開発したのが「三英傑手羽先 全国銘酒居酒屋 JAPANESE BAR 名古屋栄店」(名古屋市中区)です。
「衣をつけて揚げた手羽先をタレにくぐらせてから冷凍し、1~2分自然解凍した後にご提供します。レモンをしぼり、ミントを添えて爽やかさも演出します」と田中鎮稀料理長。
かぶりついてみると衣はザクザクした豪快な食感で、タレは山椒が利いてガツンとパンチが。中の肉もしっかり冷えていて、意外といっては何ですが冷たさとおいしさが見事に両立しています。
コメダの名物スイーツが夏仕様に。シロノワール氷
喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」でもこの夏、意外なひんやりメニューが登場しています。今や名古屋めしのひとつにも挙げられる名物デザートのシロノワール。温かいデニッシュパンと冷たいソフトクリームの組み合わせが特徴のオリジナルスイーツですが、そのアレンジ版ともいうべきシロノワール氷が夏季限定で食べられるのです。
「シロノワールの特徴であるバターの風味の再現に苦心しました。他のかき氷では横に添えるソフトクリームを真ん中に乗せているのも、シロノワールらしさを出すためのポイントです」とは広報担当の伊藤綾子さん。
氷にかけられたシロップは確かにバターのコクを感じられ、予想以上にシロノワールに寄せた味わい。ボリュームもたっぷりなので食べ進むうちに汗はすっかり引いて、外の暑さが恋しくなるほどです。本家シロノワールと同様にシェアしたり、ミニサイズ(620円)を注文するのもいいんじゃないでしょうか。
このように名古屋めしの世界でも工夫を凝らした個性豊かな冷たいメニューの数々が。夏場に入って急きょ開発されたものもあり、暑さのおかげでこれまでになかった味に出会えるチャンスができた思えば猛暑もまた楽しからずや、といったところ。夏季限定のものもあるので、是非暑いうちに“ひんやり名古屋めし”をお楽しみください。
(写真はすべて筆者撮影)