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真空チューブを時速1000kmで走る新幹線「ハイパーループ」実現は可能なのか?挑戦する企業を紹介

©Vargin Hyperloop

未来の乗り物「ハイパーループ」、真空チューブ内を時速1000kmで走る新幹線は果たして実現可能なのでしょうか。本記事では、ハイパーループの実現に向けて事業に取り組んでいる企業をご紹介します。

未来の乗り物「ハイパーループ」真空チューブ内を走る新幹線

■ハイパーループ構想とスペースX

ハイパーループのイメージ図©Wikipedia
ハイパーループのイメージ図©Wikipedia

「ハイパーループ」は、チューブ内を車両が空中浮遊して高速移動する、新しい輸送システムです。ただ地下鉄がチューブになっただけではありません。そのチューブ内の空気を抜き、真空にすることで空気抵抗を抑えるというものです。そのため、時速1000kmを超える移動が可能になります。これはリニアモーターカーの約2倍の速さに匹敵します。また、車両自体はCO2を排出しないため、環境にも優しい乗り物なのです。

2013年、皆さんもよく知るあの人、イーロン・マスク氏がこのハイパーループに関する論文を発表します。そして、多くの企業がマスク氏のアイデアを取り入れ、この事業への参入が促されています。

更にスペースXは、カリフォルニアに全長約1.6kmにも及ぶテスト用のチューブを建設しています。これはハイパーループに使用する車両のコンペティションを開催するためであり、2017年からマサチューセッツ工科大学などの多くの大学研究チームが参加しています。2019年には、ミュンヘン工科大学が最高時速463kmの車両を開発し、優勝すると同時に自己記録も更新しています。

■日立製作所も共同開発中、HTT「キンテロ・ワン」

HYPERLOOP TT©HyperloopTransportationTechnologiesInc.
HYPERLOOP TT©HyperloopTransportationTechnologiesInc.

盛り上がりを見せるハイパーループ開発ですが、実用化するための企業も世界で発足され始めています。

まずは、ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズです。アメリカやフランスに実験設備を持ち、中国でも実証実験を行うと発表しています。開発された「キンテロ・ワン」と名付けられた車両は、全長32メートル、重量5トン、最高時速は1200kmにも到達します。

実は、日本の日立製作所も同社のパートナーに名乗りを上げています。日立の強味である、信号システムや車両制御の面で貢献することで、得られた知見を将来の日本の高速鉄道に活用したいとのことです。しかし、まだ実用化の具体的な予定はまだ立っていないようです。

■ヴァージン・ハイパーループは開発凍結?

 ©Vargin Hyperloop
©Vargin Hyperloop

続いては、ヴァージン・ハイパーループです。同社は2020年に、実物大の真空チューブに乗員2名が乗り込み、500メートルの試験コースを時速170キロで移動することに成功しました。最高時速である965kmには及ばなかったものの、このシステムが機能することを証明しています。

サービス開始は2030年との発表がされますが、そのわずか1年後、同社は開発にブレーキをかけ、その規模を縮小してしまいました。そして2023年12月、社名がハイパーループ・ワンに代わった同社は、全資産を売却、そして従業員の解雇も行い、事業の閉鎖に向けて動いているとのことです。

ハイパーループは技術的難易度が高く、まだどの企業とも実現の見通しは立っていません。果たして、課題を解決し時速1000kmで走れる未来はやってくるのか、今後もハイパーループの開発に注目です。

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